全身性エリテマトーデス
概要
全身性エリテマトーデス(SLE)は、多臓器に炎症や障害を引き起こす自己免疫性膠原病である。主に若年女性に好発し、皮膚・関節・腎臓・中枢神経など多様な臓器症状を呈する。自己抗体の産生と免疫複合体の沈着が病態の中心となる。
要点
- 多彩な臨床症状と経過の多様性
- 自己抗体(抗核抗体、抗dsDNA抗体など)の存在
- 臓器障害の重症度に応じた治療選択が必要
病態・原因
自己免疫反応によって自己抗体が産生され、これらが免疫複合体を形成し、各臓器に沈着して炎症や障害を生じる。発症には遺伝的素因、ホルモン環境、環境因子(紫外線、感染症など)が関与する。
主症状・身体所見
蝶形紅斑、光線過敏、関節炎、腎障害(ループス腎炎)、中枢神経症状、漿膜炎などが代表的である。発熱や全身倦怠感、脱毛、口腔内潰瘍、血液異常(汎血球減少)もよくみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 抗核抗体(ANA) | 高値 | ほぼ全例で陽性 |
| 抗dsDNA抗体 | 陽性 | ループス腎炎の指標 |
| 補体(C3,C4) | 低下 | 活動性病変で低下 |
| 尿検査 | 蛋白尿、血尿 | 腎障害の評価 |
SLEの診断は2023年ACR/EULAR分類基準などを参考に、臨床症状と自己抗体・補体値などを総合的に評価する。腎生検や画像検査(胸腹部CT、MRI)は臓器障害の評価に用いられる。
治療
- 第一選択:副腎皮質ステロイド
- 補助療法:免疫抑制薬(アザチオプリン、シクロフォスファミド、ミコフェノール酸モフェチル)、生物学的製剤、ヒドロキシクロロキン
- 注意点:感染症リスク管理、定期的な臓器障害モニタリング、妊娠・出産管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 関節リウマチ | 関節炎優位、皮膚症状少ない | 抗CCP抗体陽性、抗核抗体は低頻度 |
| 強皮症 | 皮膚硬化、レイノー現象 | 抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体 |
| 混合性結合組織病 | 多彩な膠原病症状の混在 | 抗U1-RNP抗体陽性 |
補足事項
近年は生物学的製剤の適応拡大や、妊娠・出産の管理法進歩により予後が改善している。定期的な自己抗体・補体・臓器機能評価が重要である。