線維筋痛症
概要
線維筋痛症は、全身の慢性的な広範囲の疼痛と圧痛を主症状とする疾患で、原因不明の慢性疼痛症候群に分類される。中年女性に多く、疲労感や睡眠障害、抑うつ症状など多彩な随伴症状を伴うことが特徴である。器質的異常や炎症所見を認めない点が診断のポイントとなる。
要点
- 慢性的な全身痛と圧痛点が診断の中心
- 疲労・睡眠障害・抑うつなど随伴症状が多い
- 炎症や器質的異常は認めない
病態・原因
発症機序は明確でないが、中枢性感作や疼痛制御系の異常、ストレス、遺伝的素因などが関与すると考えられている。自己免疫疾患や感染症、外傷後に発症することもある。
主症状・身体所見
全身の広範な筋肉痛や関節痛、圧痛点(18か所中11か所以上)が特徴である。加えて、倦怠感、睡眠障害、頭痛、過敏性腸症候群様症状、抑うつや不安などの精神症状もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 炎症所見・自己抗体陰性 | 鑑別目的で実施 |
| 圧痛点評価 | 11/18点以上で圧痛陽性 | ACR診断基準の一部 |
| 画像検査 | 器質的異常なし | 他疾患除外目的 |
診断は米国リウマチ学会(ACR)基準に基づき、広範な疼痛の存在と圧痛点評価が中心となる。血液や画像検査は鑑別診断のために用いられ、特異的な異常は認められない。
治療
- 第一選択:疼痛緩和薬(プレガバリン、デュロキセチンなど)
- 補助療法:認知行動療法、運動療法、睡眠指導
- 注意点:薬剤依存や副作用、他疾患の除外
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 関節リウマチ | 関節腫脹・炎症所見あり | CRP・RF・抗CCP抗体陽性 |
| 全身性エリテマトーデス | 皮疹・臓器障害・自己抗体 | 抗核抗体・抗dsDNA抗体陽性 |
| 多発性筋炎・皮膚筋炎 | 筋力低下・CK上昇 | CK高値・筋生検異常 |
補足事項
線維筋痛症は患者のQOL低下が著しく、社会的・精神的サポートも重要となる。近年、疼痛の脳内機序や新規治療薬の開発が進んでいる。