IgA血管炎
概要
IgA血管炎は主に小児に発症する小型血管炎で、IgA免疫複合体の沈着により皮膚、関節、消化管、腎臓に炎症を生じる。紫斑、腹痛、関節痛、血尿が四徴であり、自己限定的経過をとることが多い。成人発症例や腎障害を伴う場合は重症化や再発に注意が必要。
要点
- IgA免疫複合体沈着による全身性小型血管炎
- 皮膚紫斑・腹痛・関節痛・腎障害を四徴とする
- 小児に多く予後良好だが、腎障害例は慎重な経過観察が必要
病態・原因
IgA血管炎は感染後などを契機にIgA免疫複合体が小血管壁に沈着し、補体活性化や炎症細胞浸潤を介して血管炎を引き起こす。上気道感染や薬剤、食物などが誘因となることがある。
主症状・身体所見
下肢を中心とした対称性の紫斑、腹痛や消化管出血、関節痛・関節腫脹、血尿・蛋白尿を特徴とする。発熱や全身倦怠感を伴うこともあり、腎障害は長期予後に関与する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | IgA高値、CRP・白血球増加、腎機能障害 | 補体価は通常正常 |
| 尿検査 | 血尿・蛋白尿 | 腎障害の評価に重要 |
| 皮膚生検 | 小血管壁へのIgA沈着 | 免疫染色で診断確定 |
臨床的には紫斑、腹痛、関節症状、腎症状のうち2項目以上を満たす場合に疑い、皮膚生検でのIgA沈着が診断の決め手となる。腹部超音波や腎生検が必要な場合もある。
治療
- 第一選択:対症療法(安静、鎮痛薬)、重症例や腎障害例ではステロイド
- 補助療法:血圧管理、腎保護薬、必要時入院管理
- 注意点:腎障害の長期経過観察、再発例や成人例では慎重な管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 非アレルギー性紫斑病 | IgA沈着を認めず、腎障害少ない | 皮膚生検でIgA沈着なし |
| 全身性エリテマトーデス | 多臓器障害・抗核抗体陽性 | ANA陽性、免疫複合体増加 |
| 血小板減少性紫斑病 | 血小板減少が主体、紫斑以外の症状少ない | 血小板数低下、IgA沈着なし |
補足事項
成人発症例や腎障害が遷延する場合は、慢性腎炎への進展や再発リスクに注意する。IgA腎症との鑑別・合併にも留意が必要。