Sjögren症候群
概要
Sjögren症候群は、主に外分泌腺に慢性炎症を生じる自己免疫性疾患で、特に唾液腺や涙腺が障害される。中年女性に好発し、乾燥症状(ドライシンドローム)が特徴である。単独発症(一次性)と他の膠原病に合併する(二次性)がある。
要点
- 口腔・眼の乾燥症状(ドライマウス・ドライアイ)が主徴
- 抗SS-A/Ro抗体・抗SS-B/La抗体が診断に有用
- 他臓器病変やリンパ腫発症リスクにも注意
病態・原因
自己免疫機序により外分泌腺(特に唾液腺・涙腺)にリンパ球浸潤が起こり、腺組織が破壊される。遺伝的素因、環境因子、ホルモン異常が関与し、他の膠原病(例:関節リウマチ、SLE)に合併することも多い。
主症状・身体所見
口腔乾燥(ドライマウス)や眼の乾燥(ドライアイ)が代表的で、反復性唾液腺腫脹や虫歯の多発もみられる。関節痛、皮疹、疲労感、腎・肺・神経などの臓器障害を伴うことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清自己抗体 | 抗SS-A/Ro抗体、抗SS-B/La抗体陽性 | 主要自己抗体 |
| シルマーテスト | 涙液分泌低下 | 5mm/5分以下で異常 |
| 唾液腺造影・唾液腺シンチ | 唾液腺の造影不良や取り込み低下 | 腺機能評価 |
| 唇小唾液腺生検 | リンパ球浸潤 | 病理診断の決め手 |
日本の診断基準では、主症状・自己抗体・唾液腺機能・組織所見のうち一定数を満たすことで診断される。画像所見では唾液腺の萎縮や造影不良が特徴的。
治療
- 第一選択:人工涙液・唾液、保湿剤などの対症療法
- 補助療法:ヒドロキシクロロキン、ステロイド、免疫抑制薬(臓器病変時)
- 注意点:感染予防、リンパ腫発症への経過観察
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 慢性甲状腺炎(橋本病) | 甲状腺腫大・甲状腺機能低下 | 甲状腺自己抗体陽性、唾液腺・涙腺障害は軽度 |
| 強皮症 | 皮膚硬化・レイノー現象 | 抗Scl-70抗体、唾液腺障害は非典型的 |
| 全身性エリテマトーデス | 多彩な全身症状・蝶形紅斑 | 抗dsDNA抗体、補体低下、乾燥症状は軽度 |
補足事項
発症年齢や経過により症状の個人差が大きい。二次性Sjögren症候群では他膠原病の活動性や治療方針に影響される。リンパ腫発症リスクが健常人より高い点にも注意が必要。