アトピー性皮膚炎

概要

アトピー性皮膚炎は、慢性的に経過する痒みを伴う炎症性皮膚疾患である。遺伝的素因や環境要因、免疫異常が複雑に関与し、乳児期から成人まで幅広い年齢層に発症する。皮膚バリア機能低下とアレルギー反応が主な病態である。

要点

  • 慢性・反復性の強い痒みと湿疹が特徴
  • 皮膚バリア障害とTh2優位の免疫応答が関与
  • 適切なスキンケアと抗炎症治療が不可欠

病態・原因

遺伝的素因(アトピー素因)、皮膚バリア機能の低下(フィラグリン遺伝子異常など)、環境アレルゲンやストレスが複合的に関与する。免疫学的にはTh2細胞優位の炎症反応が持続し、IgE抗体の増加もみられる。

主症状・身体所見

強い痒みを伴う湿疹が慢性的・再発性に出現し、年齢によって好発部位が異なる(乳児では顔面、幼児以降は屈側部など)。皮膚は乾燥し、苔癬化や色素沈着、二次感染を伴うことも多い。

検査・診断

検査所見補足
血清IgE多くで上昇非特異的、他のアレルギー疾患でも上昇
末梢血好酸球増加傾向活動性の指標となることがある
皮膚生検海綿状浮腫、表皮肥厚、炎症細胞浸潤鑑別困難例で実施

診断は臨床所見(痒み、湿疹の分布・慢性経過)を中心に行い、日本皮膚科学会の診断基準が用いられる。画像診断は通常不要だが、鑑別困難例で皮膚生検を考慮する。

治療

  • 第一選択:外用ステロイド薬、タクロリムス軟膏
  • 補助療法:保湿剤によるスキンケア、抗ヒスタミン薬、環境整備
  • 注意点:長期外用ステロイドの副作用、二次感染の予防

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
接触皮膚炎アレルゲン接触部位に限局、急性経過パッチテスト陽性
脂漏性皮膚炎皮脂腺分布部位(頭部・顔面)に好発マラセチアの増殖
乾癬銀白色鱗屑と境界明瞭な紅斑、痒みは軽度皮膚生検で特徴的所見

補足事項

近年ではデュピルマブなどの生物学的製剤も重症例に使用されている。皮膚バリア機能の回復と炎症制御の両面から治療を行うことが重要である。

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