気管支喘息
概要
気管支喘息は、気道の慢性炎症を基盤とし、可逆性の気流制限および気道過敏性を特徴とする疾患である。発作性の呼吸困難や喘鳴を繰り返し、アレルギー素因や環境要因が関与する。小児から成人まで幅広い年齢層で発症する。
要点
- 慢性的な気道炎症と気道過敏性が本態
- 可逆性の気流制限と発作性症状が特徴
- アレルギーや環境因子が発症・増悪に関与
病態・原因
気道に慢性炎症が持続し、好酸球やマスト細胞など炎症細胞が関与する。遺伝的素因やアレルゲンへの曝露、ウイルス感染、大気汚染、喫煙などがリスク因子となる。気道平滑筋の収縮や粘液分泌亢進も病態に寄与する。
主症状・身体所見
発作性の呼吸困難、喘鳴、咳嗽、胸部圧迫感が主症状であり、夜間や早朝に増悪しやすい。聴診で吸気・呼気両相性の喘鳴が聴取される。重症例では呼吸困難が持続し、チアノーゼや意識障害をきたすこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| スパイロメトリー | FEV1低下・可逆性あり | β2刺激薬吸入後改善を確認 |
| 呼気NO(FeNO) | 上昇 | 気道炎症の指標 |
| 胸部X線 | 異常なしまたは過膨張 | 他疾患除外目的 |
気道可逆性(β2刺激薬吸入後のFEV1改善)や気道過敏性検査が診断に重要。症状の日内変動、夜間増悪、既往歴や家族歴も診断の参考となる。胸部画像は主に鑑別診断のために施行される。
治療
- 第一選択:吸入ステロイド薬(ICS)
- 補助療法:長時間作用型β2刺激薬(LABA)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗IgE抗体など
- 注意点:発作時は短時間作用型β2刺激薬(SABA)を使用、増悪因子の回避、自己管理指導
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 慢性閉塞性肺疾患 | 高齢・喫煙歴・不可逆性気流制限 | FEV1の可逆性が乏しい |
| 心不全 | 下肢浮腫・起座呼吸・心雑音 | 胸部X線で心拡大・肺うっ血 |
| 咳喘息 | 咳嗽主体・喘鳴や呼吸困難は稀 | 気流制限は認めにくい |
補足事項
近年では生物学的製剤(抗IL-5抗体、抗IL-4/13抗体など)も重症例に導入されている。自己管理計画とピークフロー測定の日常的活用が予後改善に寄与する。