敗血症
概要
敗血症は感染症に伴う全身性炎症反応により、臓器障害や循環障害を引き起こす重篤な病態である。細菌や真菌などの病原体が血流を介して全身に影響し、適切な治療がなければ高い致死率を示す。近年はSepsis-3基準により臓器障害の有無が診断に重視されている。
要点
- 感染による全身性炎症反応と多臓器障害が特徴
- 早期診断・治療が予後改善の鍵となる
- ショックやDICなど重篤な合併症を生じやすい
病態・原因
敗血症は細菌や真菌などの病原体が血流に侵入し、免疫応答の暴走によって全身性炎症反応(SIRS)と多臓器障害を引き起こす。リスク因子には高齢、免疫抑制、慢性疾患、侵襲的処置などがある。主な原因菌はグラム陰性桿菌、グラム陽性球菌、真菌など多岐にわたる。
主症状・身体所見
発熱または低体温、頻脈、頻呼吸、意識障害、血圧低下などがみられる。進行するとショック、呼吸不全、腎不全、播種性血管内凝固(DIC)など多臓器不全を呈する。高齢者や免疫不全患者では症状が非典型的なことも多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液培養 | 病原体の検出 | 複数セット提出が望ましい |
| 炎症マーカー | CRP・PCT高値、白血球増減 | 感染・炎症の指標 |
| 血液ガス分析 | 代謝性アシドーシス、乳酸上昇 | ショックや臓器障害の評価 |
| 凝固系検査 | DIC所見(FDP↑、PT延長など) | 重症化の指標 |
敗血症の診断は感染症に加え、SOFAスコア2点以上の急性臓器障害を伴うことが基準となる。画像検査(CT、X線、エコー)で感染巣の特定や合併症評価も重要。血液培養は治療開始前に採取する。
治療
- 第一選択:広域抗菌薬の早期投与と感染巣コントロール
- 補助療法:輸液・昇圧薬による循環管理、臓器サポート(人工呼吸、腎代替療法など)
- 注意点:原因微生物に応じた抗菌薬調整、DICやショック管理、早期治療介入
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 敗血症性ショック | 血圧低下・循環不全が持続 | 乳酸高値、昇圧薬必要 |
| 全身性炎症反応症候群 | 感染以外の原因も含む | 臓器障害や感染の有無 |
| 多臓器障害 | 原因が敗血症以外の場合も多い | 感染徴候の有無 |
補足事項
敗血症の早期認識と治療介入は死亡率低下に直結する。Sepsis-3基準ではqSOFAやSOFAスコアが重視され、従来のSIRS基準から診断基準が変更された。感染症流行時には特に注意が必要。