発熱性好中球減少症
概要
発熱性好中球減少症(FN:febrile neutropenia)は、好中球減少(通常500/μL未満)と発熱を伴う状態であり、主に化学療法中の患者に発生する。重篤な感染症のリスクが高く、迅速な診断と治療介入が必要となる。
要点
- 好中球減少下で発熱が出現した場合は緊急対応が必要
- 日和見感染症や重症敗血症に進展しやすい
- 早期の広域抗菌薬投与が予後改善に重要
病態・原因
主に悪性腫瘍の化学療法や造血器疾患治療に伴って骨髄抑制が生じ、好中球数が著減することで発症する。正常な免疫応答が障害され、軽微な病原体でも重篤な感染症を引き起こしやすい。
主症状・身体所見
発熱が唯一の症状であることが多いが、感染巣の局所症状(咽頭痛、咳嗽、下痢、排尿時痛など)がみられることもある。しばしば身体所見に乏しく、バイタルサインの変化やショック兆候に注意が必要。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 好中球減少(500/μL未満) | 白血球分画も重要 |
| 血液培養 | 菌血症の有無 | 発熱時に2セット以上採取 |
| 胸部X線 | 肺炎の有無 | 呼吸器症状があれば施行 |
| 尿検査 | 尿路感染の評価 | 排尿時症状があれば施行 |
好中球数500/μL未満かつ38.3℃以上の発熱(38.0℃以上が1時間持続)で診断される。感染巣が不明の場合も多く、全身検索が推奨される。
治療
- 第一選択:広域スペクトラム抗菌薬(ピペラシリン/タゾバクタム、カルバペネム系など)の速やかな投与
- 補助療法:G-CSF製剤投与、支持療法(輸液・解熱剤)、感染巣に応じた追加治療
- 注意点:抗菌薬投与遅延の回避、抗真菌薬の早期併用検討、感染予防策の徹底
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 日和見感染 | 免疫不全下で多彩な病原体 | 真菌・ウイルス・非定型菌の検出 |
| 敗血症 | ショック・多臓器不全 | 血液培養陽性・臓器障害所見 |
補足事項
FNはがん化学療法患者の予後を左右するため、初期対応の迅速さが極めて重要である。抗菌薬選択や投与経路はリスク分類に基づき調整する。再発予防にはコロニー刺激因子製剤や感染対策の強化が推奨される。