エンドトキシン血症
概要
エンドトキシン血症は、グラム陰性菌由来のエンドトキシン(リポ多糖:LPS)が血中に放出され、全身性炎症反応や多臓器障害を引き起こす病態である。重症の場合、敗血症やショック、多臓器不全に進展することがある。特に集中治療領域で問題となる。
要点
- グラム陰性菌感染症で発生しやすい
- 全身性炎症反応症候群(SIRS)やショックを合併しやすい
- 臓器障害や高い死亡率を伴う
病態・原因
主な原因はグラム陰性菌感染症で、細菌の細胞壁成分であるエンドトキシン(LPS)が血中に放出されることで発症する。LPSは免疫細胞を活性化し、サイトカインストームや血管内皮障害、凝固異常を誘発する。リスク因子として重症感染症、免疫抑制状態、侵襲的治療などが挙げられる。
主症状・身体所見
発熱、悪寒、頻脈、低血圧、呼吸促迫などの全身性炎症反応症候群(SIRS)症状が主である。重症化すると意識障害、腎不全、呼吸不全、播種性血管内凝固(DIC)など多臓器障害を呈する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| エンドトキシン測定 | 血中エンドトキシン高値 | LAL法(リムルス試験)など |
| 血液培養 | グラム陰性菌の検出 | 陽性例で原因菌同定 |
| 炎症マーカー | CRP・PCT高値 | サイトカイン(IL-6等)高値 |
| 臓器障害マーカー | 肝・腎機能異常、DICマーカー上昇 | 多臓器障害の評価 |
診断はエンドトキシンの血中濃度測定や、敗血症・SIRSの診断基準に基づく。画像所見は直接的ではないが、感染巣の同定や臓器障害の評価にCTやエコーが用いられる。
治療
- 第一選択:原因菌に対する抗菌薬投与
- 補助療法:輸液・血圧管理・臓器サポート(腎代替療法・人工呼吸など)
- 注意点:エンドトキシン吸着療法やDIC治療、早期介入と感染巣コントロール
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 敗血症 | エンドトキシン以外の菌種も原因 | グラム陽性菌・真菌等も検出 |
| 多臓器障害 | 感染以外のショックや外傷が契機 | エンドトキシン非上昇 |
| 播種性血管内凝固 | 出血傾向・血栓症が前景 | DICマーカー著明上昇 |
補足事項
エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)は重症例で補助的に用いられるが、エビデンスは限定的である。抗サイトカイン療法や免疫調節療法の研究も進行中。早期診断と多職種連携が予後改善の鍵となる。