感染性心内膜炎
概要
感染性心内膜炎は、心臓の内膜(特に心臓弁)に微生物が感染し、炎症や疣贅を形成する疾患である。主に細菌が原因で、基礎疾患や医療行為がリスクとなる。早期診断と治療が予後改善に重要である。
要点
- 心臓弁に細菌や真菌が感染し疣贅を形成する
- 発熱、心雑音、塞栓症状が三徴候
- 早期の抗菌薬投与と場合により外科的治療が必要
病態・原因
心内膜、特に弁膜に微生物(多くはグラム陽性球菌)が付着し、血流の乱れや既存の心疾患が発症リスクとなる。静脈注射や歯科治療など侵襲的手技も原因となりうる。
主症状・身体所見
発熱、心雑音、新規または変化する弁膜症、皮下出血斑(Janeway斑、Osler結節)、脾腫、塞栓症状(脳、腎、脾、末梢動脈など)がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液培養 | 陽性(連続的・複数回で検出) | 原因菌同定、感受性試験が重要 |
| 心エコー(経胸壁/経食道) | 疣贅、弁破壊、膿瘍 | 経食道エコーが感度高い |
| 血液検査 | 炎症反応上昇、貧血、腎障害 | CRP、白血球増加など |
Duke診断基準が用いられ、血液培養陽性と心エコーでの疣贅・弁破壊所見が主要所見。経食道心エコーは小さな疣贅検出に有用。塞栓症状や免疫複合体所見も補助診断となる。
治療
- 第一選択:原因菌に応じた抗菌薬の長期静注
- 補助療法:心不全・塞栓症状への対症療法、栄養管理
- 注意点:抗菌薬耐性菌、心不全・塞栓症悪化時は外科的治療検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 心筋炎 | 心筋障害優位、弁疣贅なし | 心エコーで疣贅認めず |
| リウマチ熱 | 若年者、関節炎・舞踏病 | ASO高値、培養陰性 |
| 非感染性疣贅性心内膜炎 | 悪性腫瘍や膠原病背景、無菌性 | 血液培養陰性、基礎疾患あり |
補足事項
感染性心内膜炎の発症は高齢化や医療行為の増加で増えている。予防的抗菌薬投与の適応や、耐性菌出現への注意が必要。基礎疾患の管理も重要である。