吸収不良症候群

概要

吸収不良症候群は小腸での栄養素や水分、電解質の吸収障害によって多彩な臨床症状を呈する病態。原因は消化酵素の異常、腸粘膜の障害、腸内細菌異常増殖など多岐にわたる。慢性の下痢、体重減少、栄養障害を特徴とする。

要点

  • 小腸での栄養素吸収障害が主病態
  • 慢性下痢や体重減少、脂肪便が主症状
  • 原因疾患の鑑別と基礎疾患治療が重要

病態・原因

吸収不良症候群は小腸粘膜の障害、消化酵素分泌低下、胆汁酸や膵液の異常、腸内細菌異常増殖などにより発症する。代表的な原因にはセリアック病、慢性膵炎、短腸症候群、感染症、炎症性腸疾患などがある。

主症状・身体所見

慢性的な水様性下痢、脂肪便、体重減少、腹部膨満、栄養障害(貧血、浮腫、筋力低下など)がみられる。脂溶性ビタミン欠乏や骨粗鬆症、成長障害も重要な身体所見となる。

検査・診断

検査所見補足
便中脂肪定量脂肪排泄量増加(脂肪便)72時間便脂肪排泄量で評価
小腸生検絨毛萎縮、炎症、粘膜障害などセリアック病等で特徴的
D-キシロース試験吸収低下小腸粘膜障害の評価
血液検査貧血、低アルブミン、低カルシウムなど栄養障害・ビタミン欠乏反映

便中脂肪定量やD-キシロース試験、小腸生検が診断の中心となる。画像検査(小腸造影、CT、MRI)や内視鏡も原因検索に有用。基礎疾患の診断が最重要。

治療

  • 原因疾患の治療(例:セリアック病ではグルテン除去)
  • 栄養補給・支持療法(経口・経腸・静脈栄養)
  • ビタミン・ミネラル補充
  • 腸内細菌異常増殖には抗菌薬

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
慢性膵炎膵外分泌不全・膵石・糖尿病合併画像検査で膵石、膵管拡張
Crohn病小腸・大腸の全層性炎症・瘻孔形成内視鏡・生検で非乾酪性肉芽腫
偽膜性腸炎急性発症の水様性下痢・抗菌薬既往便中C. difficile毒素陽性

補足事項

吸収不良症候群は原因疾患が多岐にわたり、慢性下痢や体重減少を認めた場合は早期に鑑別を進めることが重要。近年は薬剤性や術後(短腸症候群)も増加傾向。

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