ビタミンB欠乏性ニューロパチー
概要
ビタミンB群(主にB1, B6, B12)の欠乏により生じる末梢神経障害。アルコール多飲や消化管疾患、吸収不良などが原因となることが多い。感覚障害や運動障害が進行性に出現し、重症例では不可逆的な神経障害を残すことがある。
要点
- ビタミンB群欠乏が主因の進行性末梢神経障害
- 感覚・運動・自律神経症状が多彩に出現
- 早期診断・補充治療で予後改善可能
病態・原因
ビタミンB1、B6、B12などの欠乏は、神経細胞のエネルギー代謝障害や髄鞘形成障害を引き起こす。アルコール依存症、消化管切除後、吸収不良症候群や偏食、長期の絶食などがリスク因子となる。
主症状・身体所見
四肢のしびれや脱力、感覚鈍麻が左右対称的に現れる。進行すると歩行障害や深部腱反射の減弱・消失、自律神経症状(起立性低血圧、発汗異常など)を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中ビタミンB群測定 | 低値 | B1, B6, B12のいずれかまたは複数 |
| 神経伝導速度検査 | 低下 | 軸索障害型または脱髄型 |
| 末梢血液像 | 巨赤芽球性貧血 | B12欠乏時に特徴的 |
血中ビタミンB群の低下が診断の決め手となる。神経伝導速度検査では軸索障害優位や脱髄所見を認める。B12欠乏例では巨赤芽球性貧血も検出される。
治療
- 第一選択:ビタミンB群(特にB1, B6, B12)の補充
- 補助療法:原因疾患(吸収不良、アルコール依存症など)の治療、リハビリテーション
- 注意点:不可逆的障害防止のため早期治療、過剰投与による副作用(B6過剰で神経障害悪化)に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 糖尿病性ニューロパチー | 糖尿病既往、血糖異常 | 血糖・HbA1c高値、ビタミンB群正常 |
| ギラン・バレー症候群 | 急性進行性、脱髄型 | 髄液蛋白細胞解離、ビタミンB群正常 |
補足事項
ビタミンB12欠乏は高齢者やベジタリアンにも多く、早期発見が重要。アルコール依存症患者では複合的なビタミン欠乏が併発しやすい。不可逆的な神経障害を防ぐため、疑った段階で速やかな補充を行う。