腸リンパ管拡張症
概要
腸リンパ管拡張症は、小腸を中心とした腸管リンパ管が異常に拡張し、蛋白漏出性胃腸症を引き起こす疾患。先天性と後天性があり、小児から成人まで発症する。低蛋白血症・浮腫・下痢などの症状が特徴となる。
要点
- 腸管リンパ管の異常拡張による蛋白漏出性胃腸症
- 低蛋白血症、浮腫、下痢が三徴
- 先天性・後天性のいずれも存在
病態・原因
腸管のリンパ管が先天的または後天的に拡張し、リンパ液が腸管内へ漏出することで蛋白喪失をきたす。先天性はリンパ管形成異常、後天性は腸間膜リンパ流障害や心疾患、腫瘍などが原因となる。
主症状・身体所見
持続性あるいは反復性の下痢、浮腫、腹部膨満、体重減少がみられる。重症例では腹水や胸水も認めることがある。乳児・小児では発育障害が目立つ。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清蛋白・アルブミン | 低値 | 低蛋白血症・低アルブミン血症 |
| 便中α1-アンチトリプシン | 上昇 | 蛋白漏出の証明 |
| 腹部超音波・CT | 腸管壁の浮腫・リンパ管拡張 | 画像で腸壁肥厚やリンパ管拡張を確認 |
| 内視鏡 | 白色斑点・絨毛腫大 | 小腸粘膜の特徴的変化 |
診断は低蛋白血症と腸管からの蛋白漏出の証明、画像・内視鏡での腸リンパ管拡張所見でなされる。組織生検で拡張リンパ管の確認が決め手となる。
治療
- 第一選択:低脂肪・中鎖脂肪酸主体の食事療法
- 補助療法:アルブミン補充、ビタミン・ミネラル補給
- 注意点:感染予防、浮腫・腹水増悪時は利尿薬や輸液管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 潰瘍性大腸炎 | 血便・粘血便、びまん性大腸炎 | 内視鏡でびらん・潰瘍、腸リンパ管拡張なし |
| Cronkhite-Canada症候群 | 色素沈着・爪異常・ポリープ | 消化管ポリープ多数、皮膚症状 |
| 吸収不良症候群 | 脂肪便・栄養障害 | 小腸吸収障害が主体、リンパ管拡張はない |
補足事項
予後は原因と重症度によるが、食事療法への反応が良好な例が多い。二次性の場合は基礎疾患の治療も重要。まれに腸管穿孔や重篤な感染症を合併するため注意が必要。