慢性膵炎
概要
慢性膵炎は膵臓の持続的炎症により、膵実質の線維化と不可逆的な機能障害をきたす疾患。主にアルコール多飲や胆石症が原因となり、膵外分泌・内分泌機能の低下を伴う。進行すると糖尿病や消化吸収障害を合併する。
要点
- 慢性的な膵臓の炎症と線維化が進行性に起こる
- 消化酵素分泌低下や糖尿病などの機能障害を合併
- 原因の多くはアルコール摂取と胆石症
病態・原因
長期にわたる膵臓への炎症刺激(アルコール、胆石、遺伝性、自己免疫など)が膵実質の破壊と線維化を引き起こす。膵管の狭窄や蛋白栓形成も進行に寄与する。喫煙もリスク因子として重要である。
主症状・身体所見
上腹部痛や背部痛が典型的な症状で、進行例では体重減少や脂肪便(脂肪性下痢)、糖尿病症状がみられる。膵外分泌機能不全による消化吸収障害も特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部CT・MRI | 膵の萎縮、石灰化、膵管拡張 | 慢性膵炎の構造的変化を評価 |
| 膵機能検査 | 消化酵素低下、脂肪便 | 外分泌機能障害の確認 |
| 血液検査 | アミラーゼ・リパーゼ低下または正常 | 急性膵炎と異なり正常例も多い |
画像診断では膵石や膵管の不整、萎縮・石灰化が重要所見。内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は膵管構造評価に有用。診断基準は画像・症状・膵機能障害の組み合わせで行う。
治療
- 第一選択:禁酒・禁煙、膵酵素補充療法、鎮痛薬
- 補助療法:脂肪制限食、ビタミン補給、糖尿病管理
- 注意点:急性増悪や膵癌発症リスク、定期的なフォロー
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性膵炎 | 急性発症の激しい腹痛 | 血中アミラーゼ・リパーゼ高値 |
| 膵癌 | 進行性黄疸、腫瘤形成 | 画像で腫瘤、腫瘍マーカー上昇 |
| 自己免疫性膵炎 | IgG4高値、他臓器の合併症 | 画像で膵腫大、IgG4上昇 |
補足事項
慢性膵炎患者は膵癌のリスクが高まるため、定期的な画像検査が推奨される。膵外分泌不全による栄養障害や骨粗鬆症にも注意が必要。新規治療薬や内視鏡的治療の開発も進んでいる。