蛋白漏出性胃腸症
概要
蛋白漏出性胃腸症は、消化管から血漿蛋白が異常に漏出し、低蛋白血症をきたす疾患群。浮腫や腹水などの症状を呈し、基礎疾患として炎症やリンパ管異常などが関与することが多い。診断には他疾患の除外と特殊検査が必要となる。
要点
- 消化管からの蛋白漏出により低蛋白血症・浮腫を生じる
- 原因は腸管炎症・リンパ管拡張症・腫瘍など多岐にわたる
- 治療は原因疾患への対処と支持療法が中心
病態・原因
消化管粘膜の障害や腸管リンパ管の拡張により、アルブミンなどの血漿蛋白が腸管腔内に漏出する。原因には炎症性腸疾患、腸リンパ管拡張症、消化管腫瘍、うっ血性心不全などが含まれる。
主症状・身体所見
全身性浮腫、腹水、胸水などの体液貯留症状が主で、下痢や腹痛を伴うこともある。著明な低アルブミン血症にもかかわらず、腎・肝疾患の所見が乏しい点が特徴的。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清アルブミン | 低値 | 腎・肝疾患除外が必要 |
| α1-アンチトリプシンクリアランス | 上昇 | 腸管からの蛋白漏出の指標 |
| 腹部超音波・CT | 腸管肥厚・リンパ管拡張・腹水 | 原因検索に有用 |
| 99mTc-アルブミンシンチグラフィ | 腸管への蛋白漏出を可視化 | 特異的検査 |
診断は低蛋白血症の存在と他臓器疾患(腎症・肝疾患など)の除外、α1-アンチトリプシンクリアランスやシンチグラフィによる腸管蛋白漏出の証明により確定する。画像検査で基礎疾患の評価も行う。
治療
- 第一選択:原因疾患の治療(例:炎症性腸疾患治療、リンパ管拡張症への脂肪制限食)
- 補助療法:高蛋白・低脂肪食、MCT(中鎖脂肪酸)利用、利尿薬による浮腫管理
- 注意点:感染予防、再発や栄養障害のモニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| ネフローゼ症候群 | 尿蛋白大量漏出、浮腫 | 尿検査で蛋白尿陽性 |
| 肝硬変 | 肝機能障害・腹水 | 肝機能検査・画像で肝硬変所見 |
| 吸収不良症候群 | 栄養障害、脂肪便 | 便中脂肪増加、ビタミン欠乏 |
補足事項
小児では先天性腸リンパ管拡張症が多く、成人では基礎疾患の精査が重要となる。慢性経過例では栄養管理と合併症予防が課題となる。