胃悪性リンパ腫

概要

胃悪性リンパ腫は胃に発生するリンパ系腫瘍で、消化管原発悪性リンパ腫の中で最も頻度が高い。主にB細胞由来であり、ヘリコバクター・ピロリ感染との関連が知られる。進行例では潰瘍や腫瘤形成を伴い、他疾患との鑑別が重要となる。

要点

  • 胃原発のリンパ系腫瘍でB細胞型が多い
  • ヘリコバクター・ピロリ感染が発症に関与
  • 進行例では潰瘍や腫瘤形成を認める

病態・原因

胃悪性リンパ腫は胃粘膜下組織のリンパ球が腫瘍化することで発症し、主にMALTリンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が多い。ヘリコバクター・ピロリ感染が発症リスクを高め、慢性炎症が腫瘍化を促進する。

主症状・身体所見

上腹部痛、悪心、嘔吐、体重減少などの消化器症状がみられ、進行例では消化管出血や穿孔を来すこともある。触診で腫瘤を認めることは稀だが、進行例では腹部腫瘤やリンパ節腫脹を伴う場合がある。

検査・診断

検査所見補足
上部消化管内視鏡潰瘍、腫瘤、びらん、白色調隆起性病変生検により組織診断が必須
生検組織検査リンパ球増殖、免疫染色でB細胞マーカーMALTリンパ腫、DLBCLの鑑別
CT/MRI壁肥厚、腫瘤形成、リンパ節腫脹病期診断、他臓器浸潤評価

内視鏡での異常所見に対し生検を行い、組織学的・免疫学的解析で診断する。画像検査で進展度やリンパ節転移、遠隔転移の有無を確認する。MALTリンパ腫ではピロリ菌検査も重要。

治療

  • 第一選択:ヘリコバクター・ピロリ除菌療法(MALTリンパ腫の場合)、化学療法±放射線療法(進行例やDLBCL型)
  • 補助療法:外科的切除(穿孔・出血など合併例)、支持療法
  • 注意点:治療効果判定のため定期的な内視鏡・画像評価が必要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
胃潰瘍粘膜表層中心、隆起少ない生検で腫瘍性細胞なし
早期胃癌不整形びらん・隆起、腫瘤性組織像・免疫染色で異なる
GIST粘膜下腫瘍、表面平滑c-kit陽性、形態異なる

補足事項

胃悪性リンパ腫は消化管腫瘍の中でも治療により長期生存が期待できる疾患であり、早期発見と適切な病型診断が重要となる。ピロリ菌除菌による寛解例も多いため、初期治療戦略の決定には病理型の判定が必須である。

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