消化管神経内分泌腫瘍
概要
消化管神経内分泌腫瘍(gastroenteropancreatic neuroendocrine tumor, GEP-NET)は消化管や膵臓に発生する神経内分泌細胞由来の腫瘍であり、ホルモン産生の有無により機能性・非機能性に分類される。近年、画像診断や内視鏡技術の進歩により発見頻度が増加している。悪性度は腫瘍の分化度や増殖能によって幅広い。
要点
- 消化管や膵臓に発生しうる神経内分泌細胞由来の腫瘍
- ホルモン産生の有無や分化度により臨床像・予後が異なる
- 手術、分子標的薬、サンドスタチンなど多様な治療選択肢がある
病態・原因
消化管神経内分泌腫瘍は神経内分泌細胞の腫瘍性増殖によって発生し、発症には遺伝的素因(多発性内分泌腺腫症1型など)が関与する場合もある。ホルモン産生腫瘍では過剰なホルモン分泌による症候群を呈することがある。
主症状・身体所見
非機能性腫瘍は無症状で偶発的に発見されることが多いが、大型化すると腹痛・閉塞症状・出血などが出現する。機能性腫瘍ではインスリノーマ、ガストリノーマなどにより低血糖発作や消化性潰瘍など特有の症候がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 内視鏡・画像診断 | 腫瘍性病変、壁肥厚、結節、造影効果など | CT、MRI、EUS、PETなどを併用 |
| 血中マーカー | クロモグラニンA、尿5-HIAA、特異的ホルモン上昇 | 機能性の場合はホルモン測定が有用 |
診断は画像診断・内視鏡・生検による組織学的診断が基本で、WHO分類に基づきグレード(G1~G3)を決定する。分子病理やKi-67増殖指数、ホルモン産生能の評価も重要。
治療
- 第一選択:外科的切除(根治可能例)、進行例では分子標的薬やサンドスタチン製剤
- 補助療法:化学療法、放射性同位元素療法、対症療法
- 注意点:転移例では腫瘍縮小や症状緩和を目的とした治療選択、定期的なモニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| GIST | 消化管間質細胞由来、CD117陽性 | 免疫染色(CD117, DOG1) |
| 平滑筋肉腫 | 筋組織由来、ホルモン症状なし | 免疫染色(SMA, desmin陽性) |
| 胃悪性リンパ腫 | リンパ組織由来、全身症状や多発傾向 | 組織診断、リンパ球マーカー |
補足事項
近年は分子標的治療薬やペプチド受容体放射線療法(PRRT)の適応が拡大している。早期発見例の増加により予後改善が期待される。