H鎖病
概要
H鎖病は、免疫グロブリンの重鎖(H鎖)のみが異常に産生される希少なB細胞性リンパ増殖性疾患である。主に中年以降に発症し、消化管症状や免疫不全を伴うことが多い。多発性骨髄腫や悪性リンパ腫との鑑別が重要となる。
要点
- 免疫グロブリンH鎖のみを産生する異常なB細胞疾患
- 消化管症状や免疫不全、全身症状を呈する
- 悪性リンパ腫や骨髄腫との鑑別が必要
病態・原因
H鎖病は、B細胞の腫瘍性増殖により免疫グロブリン重鎖(H鎖)のみが分泌される疾患で、分子遺伝学的異常や染色体異常が関与する。原因は明確ではないが、慢性炎症や感染症との関連が指摘されることもある。
主症状・身体所見
消化管型では下痢や体重減少、腹痛などの消化器症状が主体となる。全身型では発熱、リンパ節腫脹、肝脾腫、貧血、易感染性などがみられる。免疫不全により日和見感染症を合併しやすい。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清蛋白電気泳動 | 異常な単クローン性バンド | γグロブリン領域に異常 |
| 免疫固定法 | H鎖のみ検出、L鎖は陰性 | IgG・IgA・IgM型で分類 |
| 骨髄穿刺 | 異型形質細胞の増加 | 骨髄浸潤の評価 |
| 画像検査 | 消化管壁肥厚、リンパ節腫大 | 消化管型では腹部CT有用 |
血清や尿中で遊離H鎖が検出され、免疫固定法でL鎖の欠如が確認されることが診断の決め手となる。消化管生検や骨髄検査で腫瘍性B細胞の浸潤が証明される。
治療
- 第一選択:化学療法(CHOP系など)
- 補助療法:支持療法、感染症対策、輸血
- 注意点:免疫不全による感染症管理、治療反応性の個人差
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 多発性骨髄腫 | L鎖も産生され骨病変が目立つ | 免疫固定でH・L鎖両方陽性 |
| 胃悪性リンパ腫 | 消化管局所症状中心 | 組織型・免疫染色で鑑別 |
| 原発性マクログロブリン血症 | IgM過剰産生が主 | IgM型M蛋白が主体 |
補足事項
H鎖病はIgG型・IgA型・IgM型に分類され、臨床像や予後が異なる。特に消化管型(IgA型)は中東・地中海沿岸地域で多い。治療反応性や予後は型や進行度によって大きく異なる。