麻疹
概要
麻疹は麻疹ウイルスによる急性ウイルス感染症で、発熱・発疹・カタル症状を三徴とする。感染力が非常に強く、ワクチン未接種者を中心に流行しやすい。合併症や重症化例も多く、公衆衛生上重要な疾患である。
要点
- 麻疹ウイルスによる強い感染力と集団発生
- 発熱・発疹・カタル症状を主徴とする臨床経過
- 肺炎や脳炎など重篤な合併症のリスク
病態・原因
麻疹ウイルス(Paramyxoviridae科 Morbillivirus属)による飛沫・空気感染が主な経路で、潜伏期間は10〜12日。ウイルスは上気道粘膜から体内に侵入し、全身にウイルス血症を引き起こす。免疫不全状態やワクチン未接種が主なリスク因子である。
主症状・身体所見
初期は発熱、咳、鼻汁、結膜充血などカタル症状が出現し、2〜4日後に特徴的な紅斑性発疹が顔面から体幹・四肢へ広がる。口腔内にコプリック斑がみられることが診断の手がかりとなる。発疹出現後も高熱が持続しやすい。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清抗体検査 | IgM抗体陽性 | 急性期診断に有用 |
| 咽頭ぬぐい液PCR | 麻疹ウイルス遺伝子検出 | 迅速かつ特異度高い |
| 血液検査 | 白血球減少、CRP上昇 | 非特異的 |
臨床症状(カタル期+発疹+コプリック斑)と疫学情報から診断を行うが、確定診断は血清IgM抗体やPCR検査による。画像検査は二次感染や合併症評価時に行う。
治療
- 第一選択:対症療法(安静、解熱、補液、必要時酸素投与)
- 補助療法:細菌感染合併時の抗菌薬、栄養管理、ビタミンA補充
- 注意点:感染拡大防止のため隔離、ワクチン未接種者への曝露後免疫
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 風疹 | 発熱軽度・発疹が先、リンパ節腫脹 | 麻疹IgM陰性、風疹IgM陽性 |
| 突発性発疹 | 乳児に多く、解熱後に発疹 | 麻疹ウイルスPCR陰性 |
| 伝染性紅斑 | 頬部の蝶形紅斑、発熱軽度 | パルボウイルスB19抗体陽性 |
補足事項
ワクチン接種による予防が最も有効であり、集団免疫の維持が流行防止に不可欠。妊婦や免疫不全者での重症化に注意が必要。近年、成人発症例や輸入症例も増加傾向にある。