誤嚥性肺炎

概要

誤嚥性肺炎は、口腔や咽頭の内容物が気道に誤って流入することで発症する肺炎であり、高齢者や嚥下障害を有する患者に多発する。主に常在菌や嫌気性菌による感染が原因となる。臨床的には発熱や咳、呼吸困難などの症状を呈し、重症化しやすい。

要点

  • 嚥下障害や高齢者に多い、気道への誤嚥が原因
  • 口腔・咽頭の常在菌や嫌気性菌が主な起炎菌
  • 早期診断と適切な抗菌薬治療、嚥下機能評価が重要

病態・原因

加齢や脳血管障害、神経疾患、意識障害などによる嚥下反射低下や咳反射低下が主なリスク因子となる。誤嚥により口腔内細菌や食物が下気道に流入し、炎症と感染を引き起こす。慢性的な誤嚥や夜間の不顕性誤嚥も発症に関与する。

主症状・身体所見

発熱、咳嗽、膿性痰、呼吸困難が典型的であり、高齢者では意識障害や食欲不振、脱力など非特異的な症状も目立つ。聴診でラ音や湿性ラ音が認められることが多い。

検査・診断

検査所見補足
胸部X線下肺野優位の浸潤影、無気肺像誤嚥しやすい部位に多い
喀痰培養嫌気性菌や口腔内常在菌の検出起炎菌同定に有用
血液検査白血球増多、CRP上昇炎症反応の指標

画像診断では下肺野や背側優位の浸潤影が特徴的であり、嚥下造影により誤嚥の有無を評価することもある。臨床経過やリスク因子の確認が診断上重要。

治療

  • 第一選択:広域スペクトルの抗菌薬(アンピシリン/スルバクタムなど)
  • 補助療法:嚥下訓練、口腔ケア、栄養管理
  • 注意点:再発予防のための嚥下機能評価とリハビリ

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
市中肺炎明確な誤嚥エピソードがない起炎菌や部位が異なる
肺膿瘍空洞形成や膿瘍像画像で空洞・液面形成
肺結核症慢性経過、血痰、夜間発熱結核菌検出、上肺野優位

補足事項

高齢者では症状が非典型的で発見が遅れやすいため、嚥下障害の評価と口腔ケアの徹底が重要。再発率が高く、予防的アプローチが治療と同じくらい重要である。

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