肺結核症
概要
肺結核症は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による慢性肺感染症で、空気感染を介して拡がる。発症は免疫力低下時に多く、進行すると呼吸器症状と全身症状を呈する。適切な治療で治癒可能だが、公衆衛生上重要な疾患である。
要点
- 結核菌感染による慢性肺疾患
- 空咳、血痰、発熱など多彩な症状
- 早期診断と多剤併用療法が重要
病態・原因
結核菌が飛沫核として肺に吸入され、初感染後に潜伏感染状態となる。免疫低下や高齢、基礎疾患などが発症リスクを高める。再活性化により活動性肺結核として発症することが多い。
主症状・身体所見
慢性の咳嗽や血痰、発熱、寝汗、体重減少が特徴的である。進行例では呼吸困難や胸痛も認められる。身体診察ではラ音や呼吸音減弱などがみられる場合がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線 | 浸潤影、空洞、線維化、石灰化など | 上肺野優位の変化が多い |
| 喀痰塗抹・培養 | 抗酸菌陽性、結核菌培養で同定 | PCR法による迅速診断も有用 |
| ツベルクリン反応 | 陽性反応(感染既往やBCG接種歴で判定注意) | IGRAs(インターフェロンγ遊離試験)も補助 |
画像所見や喀痰検査で診断する。活動性結核では複数回の喀痰検体で抗酸菌陽性を確認する。胸部CTで微小病変を検出できる。
治療
- 第一選択:イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトールの多剤併用療法
- 補助療法:栄養管理、安静、合併症対策
- 注意点:服薬アドヒアランスの徹底、耐性菌対策、感染拡大防止
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肺炎 | 急性発症、発熱・膿性痰 | 喀痰培養で一般細菌、X線で区域性陰影 |
| 肺癌 | 喫煙歴、進行性血痰、腫瘤影 | 腫瘍マーカー、細胞診・組織診断 |
| 肺アスペルギルス症 | 免疫低下、空洞内菌球形成 | 抗アスペルギルス抗体、真菌培養 |
補足事項
結核は近年再増加傾向にあり、高齢者や免疫抑制患者で重症化しやすい。公衆衛生上、早期発見と隔離、接触者検診が不可欠である。治療中断による耐性結核菌の出現が問題となっている。