気管食道瘻
概要
気管食道瘻は、気管と食道の間に異常な交通路(瘻孔)が形成される疾患である。先天性と後天性があり、新生児では先天性が多く、成人では腫瘍や外傷、医原性が主な原因となる。誤嚥や呼吸障害を引き起こし、早期診断と治療が重要となる。
要点
- 気管と食道間に異常交通路が形成される
- 誤嚥性肺炎や窒息のリスクが高い
- 早期の外科的治療が必要
病態・原因
先天性気管食道瘻は胎生期の発生異常によるもので、しばしば食道閉鎖を伴う。後天性は食道癌や気管癌などの腫瘍浸潤、外傷、長期挿管や手術による医原性損傷などが原因となる。瘻孔を介して気道と消化管内容物が混入し、重篤な合併症を招く。
主症状・身体所見
新生児では多量の泡沫状唾液、チアノーゼ、哺乳時の咳嗽や呼吸困難が特徴的である。成人では持続する咳嗽、誤嚥、反復性肺炎、喀痰中の食物残渣などがみられる。食物摂取時の呼吸苦も重要な所見である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 食道造影 | 造影剤が気管側へ漏出 | 瘻孔の位置・大きさを評価 |
| 気管支鏡検査 | 瘻孔の直接観察 | 局在診断・詳細な評価に有用 |
| 胸部X線 | 肺炎像や異物混入 | 合併症の評価 |
食道造影や気管支鏡で瘻孔の存在と位置を確認することが診断の決め手となる。胸部X線では誤嚥性肺炎や無気肺の合併を評価する。先天性では生後早期の症状と画像診断の組み合わせが重要である。
治療
- 第一選択:外科的瘻孔閉鎖術
- 補助療法:経腸栄養、誤嚥防止、感染管理
- 注意点:術前の全身管理、肺炎や栄養障害の治療
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 食道閉鎖症 | ガスのない腹部、胃管挿入不能 | 造影で食道盲端確認 |
| 食道癌 | 高齢者、嚥下障害、体重減少 | 内視鏡で腫瘍性病変 |
| 誤嚥性肺炎 | 基礎疾患による誤嚥既往 | 画像で肺炎像のみ、瘻孔なし |
補足事項
気管食道瘻は新生児救急疾患としても重要であり、成人では腫瘍性疾患の進行例でみられる。治療には多職種連携が求められ、術後のフォローアップも重要となる。