肺過誤腫
概要
肺過誤腫は肺に発生する良性腫瘍で、主に中年以降の成人にみられる。組織学的には軟骨、脂肪、線維組織、気管支上皮などが混在していることが特徴である。多くは無症状で偶然発見されることが多い。
要点
- 肺の良性腫瘍で最も頻度が高い
- 多様な組織成分(軟骨・脂肪など)を含む
- 多くは無症状・経過観察で対応可能
病態・原因
肺過誤腫は胚発生期の異常に由来し、異常な分化をした組織が肺内で腫瘤を形成する。明確なリスク因子は不明だが、偶発的な細胞増殖によるものと考えられている。
主症状・身体所見
多くは無症状で、健康診断などの胸部X線検査で偶然発見される。大きくなると咳や胸痛などの圧迫症状を呈することがあるが、一般的には症状は乏しい。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線写真 | 境界明瞭な円形陰影、時に石灰化像 | 無症状例で発見が多い |
| 胸部CT | 腫瘤内に脂肪・石灰化・軟骨成分を認める | 診断の決め手となる |
| 組織生検 | 軟骨、脂肪、線維組織、気管支上皮混在 | 鑑別困難例で施行 |
CTで脂肪や石灰化を含む腫瘤を認めることが診断のポイントとなる。確定診断には組織学的検討が必要となることもある。
治療
- 第一選択:無症状かつ典型像なら経過観察
- 補助療法:症状や増大例では外科的切除
- 注意点:悪性化は極めて稀だが、増大例や鑑別困難例は慎重に対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肺癌 | 境界不明瞭・スピキュラ・増大傾向 | CTで不均一造影・石灰化稀 |
| 肺結核症 | 空洞形成・石灰化・既往歴 | 喀痰検査陽性・CTで空洞像 |
| 肺アスペルギローマ | 既存空洞内の腫瘤・移動性 | CTで空洞内腫瘤・辺縁明瞭 |
補足事項
過誤腫は良性腫瘍であり、臨床的な経過は極めて良好である。画像診断技術の進歩により、非侵襲的に診断できる例が増加している。