ニューモシスチス肺炎
概要
ニューモシスチス肺炎は、免疫不全状態の患者に発症する日和見感染症で、Pneumocystis jiroveciiによる真菌性肺炎である。HIV感染者や免疫抑制薬投与中の患者で発症リスクが高い。進行性の呼吸困難や低酸素血症を特徴とする。
要点
- 免疫不全患者に好発する真菌性肺炎
- 進行性の呼吸困難と著明な低酸素血症が特徴
- 画像・検査による早期診断と治療が重要
病態・原因
Pneumocystis jiroveciiは通常は無害だが、細胞性免疫が低下した際に肺胞に感染・増殖し、間質性肺炎を引き起こす。HIV感染、造血幹細胞移植、ステロイド長期投与などが主なリスク因子である。
主症状・身体所見
発熱、乾性咳嗽、労作時呼吸困難が主症状で、進行すると安静時も呼吸困難やチアノーゼを認める。胸部聴診ではラ音が乏しいことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線/CT | 両側性すりガラス様陰影、間質性陰影 | 末梢優位、肺門部も侵す |
| β-Dグルカン | 上昇 | 非特異的だが補助診断 |
| 喀痰/気管支肺胞洗浄液 | グロコット染色で胞子体検出 | PCR法も有用 |
診断は臨床像と画像所見に加え、喀痰やBAL液でのPneumocystisの検出によって確定する。β-Dグルカンの上昇も診断の一助となる。
治療
- 第一選択:ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)の投与
- 補助療法:重症例では副腎皮質ステロイド併用、酸素投与
- 注意点:薬剤副作用(骨髄抑制、腎障害)や再発予防のための一次予防投与
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 細菌性肺炎 | 急性発症・膿性痰・局所性陰影 | X線で区域性浸潤影 |
| サイトメガロウイルス肺炎 | 免疫不全・発熱・肺炎症状 | CMV抗原/核酸検出、包涵体 |
| 肺アスペルギルス症 | 血痰・空洞形成・好中球減少 | ガラクトマンナン抗原陽性 |
補足事項
ニューモシスチス肺炎はHIV感染症以外の免疫抑制患者でも増加傾向にあり、予防投与の適応や早期診断の重要性が増している。耐性例や副作用時はペンタミジンなどの代替薬も考慮する。