接合菌症
概要
接合菌症はムコール目(接合菌類)による日和見性真菌感染症であり、免疫不全患者や糖尿病患者に多く発症する。進行が急速で、致死率が高いことが特徴。主に鼻腔、副鼻腔、肺、消化管、皮膚、中枢神経系に感染巣を形成する。
要点
- 免疫不全や糖尿病患者に好発し、急速進行する
- 鼻・副鼻腔型、肺型、消化管型、皮膚型など多彩な臨床型がある
- 早期診断と外科的デブリドマン、抗真菌薬治療が重要
病態・原因
接合菌症は主にムコール目(Rhizopus, Mucor, Absidia属など)の真菌によって引き起こされる。好中球減少や糖尿病性ケトアシドーシス、長期ステロイド投与、造血幹細胞移植後などの免疫低下状態が主なリスク因子となる。
主症状・身体所見
感染部位により症状は異なるが、鼻・副鼻腔型では顔面腫脹、眼球突出、鼻出血、黒色壊死性病変がみられる。肺型では発熱、咳嗽、血痰、呼吸困難を呈し、消化管型では腹痛、消化管出血、穿孔などが生じる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 病理組織検査 | 広く無隔壁の菌糸、血管内侵襲 | Grocott染色で菌糸確認 |
| 培養 | ムコール目真菌の発育 | 同定には培養が必須 |
| 画像検査(CT/MRI) | 壊死性病変、浸潤影 | 鼻副鼻腔・肺・消化管で有用 |
確定診断には組織生検による病理検査が不可欠。培養は同定に役立つが発育が遅いことも多い。画像検査では早期から壊死や浸潤像を認めることがある。
治療
- 第一選択:リポソーマルアムホテリシンB静注
- 補助療法:外科的デブリドマン、基礎疾患のコントロール
- 注意点:治療開始遅延や不十分なデブリドマンは予後不良
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肺アスペルギルス症 | 菌糸が細く分岐、慢性経過 | Aspergillus抗原陽性、分岐角度が鋭角 |
| 肺カンジダ症 | 酵母様真菌、好発背景が異なる | カンジダ特有の芽球・偽菌糸、培養で同定 |
補足事項
糖尿病性ケトアシドーシスや好中球減少などの基礎疾患管理が予後改善に不可欠。近年は造血幹細胞移植後や免疫抑制療法下での発症が増加している。非典型例も多く、早期診断には高い臨床的疑いが必要。