クリプトコックス髄膜炎

概要

クリプトコックス髄膜炎はクリプトコッカス属真菌による中枢神経系感染症で、特に免疫不全患者に発症しやすい。進行すると意識障害や死亡に至ることもある重篤な日和見感染症である。HIV感染症患者での発症頻度が高い。

要点

  • クリプトコッカス属真菌による髄膜炎である
  • 免疫不全状態(HIV/AIDSなど)で好発する
  • 早期診断・抗真菌薬治療が予後改善に重要

病態・原因

原因は主にCryptococcus neoformansまたはCryptococcus gattiiの吸入後、血行性に中枢神経系へ波及することによる。免疫抑制状態(AIDS、臓器移植後、ステロイド長期投与など)が発症リスクを高める。

主症状・身体所見

発熱、頭痛、悪心・嘔吐、項部硬直、意識障害など髄膜炎症状を呈する。進行例では視力障害や痙攣、脳神経麻痺もみられる。免疫抑制患者では症状が非典型的なことも多い。

検査・診断

検査所見補足
髄液検査髄液圧上昇、白血球増多、糖低下、蛋白上昇インク染色で莢膜酵母検出
クリプトコッカス抗原検査髄液・血清で抗原陽性高感度・高特異度
培養クリプトコッカスの同定髄液・血液・喀痰などから分離

髄液インク染色やクリプトコッカス抗原検査が診断に有用。画像検査(MRI/CT)では脳室拡大や髄膜肥厚、結節性病変などを認めることがある。

治療

  • 第一選択:アムホテリシンB+フルシトシンの併用投与
  • 補助療法:フルコナゾール維持療法、髄液圧亢進時の穿刺
  • 注意点:免疫再構築症候群(IRIS)や腎障害に留意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
細菌性髄膜炎急激な経過、高熱、髄液多形核優位グラム染色で細菌検出、培養陽性
結核性髄膜炎亜急性経過、結核既往、糖低下顕著Ziehl-Neelsen染色で抗酸菌検出
単純ヘルペス脳炎高熱+意識障害、側頭葉優位の異常髄液PCRでHSV DNA陽性

補足事項

AIDS患者では初発症状として現れることも多く、治療開始後に免疫再構築症候群(IRIS)を発症する場合がある。アムホテリシンB投与時は腎機能障害、電解質異常に注意する。

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