壊死性筋膜炎

概要

壊死性筋膜炎は皮下組織や筋膜に急速に進行する壊死性炎症をきたす重篤な細菌感染症である。主にグラム陽性球菌やグラム陰性桿菌、嫌気性菌の混合感染が原因となる。早期診断と外科的治療、強力な抗菌薬投与が生命予後を左右する。

要点

  • 急速進行性で高い致死率を有する皮膚・軟部組織感染症
  • 早期診断・緊急外科的デブリドマンが治療の要
  • 糖尿病・免疫低下患者などがリスク群

病態・原因

皮膚の小外傷や手術創などから細菌が侵入し、筋膜・皮下組織で爆発的に増殖して組織壊死を引き起こす。主な起因菌はA群溶血性レンサ球菌や黄色ブドウ球菌、嫌気性菌(クロストリジウム属等)であり、しばしば混合感染となる。糖尿病や免疫抑制状態、慢性疾患などがリスク因子となる。

主症状・身体所見

患部の激烈な疼痛、発赤、腫脹、熱感が初期症状で、急速に皮膚色調の変化(水疱・紫斑・壊死)や感覚鈍麻を呈する。全身症状として高熱、頻脈、ショック、意識障害などを認めることが多い。

検査・診断

検査所見補足
血液検査白血球増多、CRP高値、CK上昇DICや腎障害の合併も評価
画像検査(CT/MRI)皮下気腫、筋膜周囲の液体貯留皮下ガス像や広範な浮腫の確認
培養検査起因菌の同定血液・創部分泌物より

臨床所見と急速な進行を重視し、画像で皮下ガスや筋膜浮腫を確認する。LRINECスコアも診断補助となる。確定診断には手術時の筋膜壊死所見が決定的。

治療

  • 第一選択:緊急外科的デブリドマンと広域抗菌薬投与
  • 補助療法:集中管理(循環・呼吸管理、栄養管理)、免疫グロブリン大量投与
  • 注意点:治療遅延や不十分なデブリドマンは致死的、再発防止に全身管理必須

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
蜂窩織炎進行が比較的緩徐、壊死や皮下気腫は稀画像で筋膜周囲のガスや浮腫なし
ガス壊疽ガス産生菌(クロストリジウム)優位、筋肉壊死が顕著皮下ガスと筋壊死が主体

補足事項

初期は蜂窩織炎や単純な皮膚感染と誤認されやすい。進行が極めて速いため、疼痛の強さや全身症状の重篤さに注意し、疑った時点で即座に外科コンサルトを行うべきである。

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