スポロトリコーシス
概要
スポロトリコーシスはSporothrix schenckii複合体による深在性皮膚真菌症であり、主に土壌や植物に存在する真菌が皮膚の外傷を介して感染する。造園業や農業従事者に多く、慢性経過を示すことが特徴である。
要点
- 皮膚・皮下組織に硬結性結節や潰瘍を形成
- 土壌や植物との接触により感染
- 免疫不全患者では播種性感染も生じうる
病態・原因
Sporothrix schenckii複合体は温帯から熱帯に分布し、植物や土壌に常在する。外傷や刺創から皮膚に侵入し、リンパ管に沿って病変が広がる。免疫抑制状態では内臓への播種も起こる。
主症状・身体所見
初期には皮膚に小結節が出現し、次第に潰瘍や痂皮を伴う。リンパ管に沿った結節(リンパ管型)が特徴的で、慢性経過をとる。まれに骨・関節や全身臓器に及ぶこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚生検 | 真菌の検出 | PAS染色やグロコット染色で観察 |
| 真菌培養 | Sporothrix属の菌の発育 | サブロー寒天培地で数日~数週間培養 |
| 画像検査 | 骨関節病変の評価 | 播種例や深部病変でX線・CTなど |
皮膚生検で肉芽腫性炎症と真菌の存在を確認し、真菌培養でSporothrix属を同定することが確定診断となる。播種例や関節病変では画像検査も行う。
治療
- 第一選択:イトラコナゾール内服
- 補助療法:局所の創傷ケア、重症例ではアムホテリシンB静注
- 注意点:治療期間は数か月に及ぶことが多い、免疫不全例では再発・難治化に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 皮膚カンジダ症 | 湿潤部位に好発、衛生状態悪化 | カンジダ属真菌の検出 |
| 壊死性筋膜炎 | 急速進行性、激しい疼痛と全身症状 | 皮膚壊死・ガス像、細菌培養陽性 |
補足事項
日本では稀な疾患だが、輸入症例や免疫抑制患者の増加により注意が必要。リンパ管型が典型的だが、播種型や肺型も報告されている。