連鎖球菌感染症
概要
連鎖球菌感染症はStreptococcus属に属する細菌によって引き起こされる感染症で、咽頭炎、皮膚感染症、敗血症など多様な臨床像を呈する。A群β溶血性連鎖球菌が最も頻度が高く、急性咽頭炎や猩紅熱の原因となる。重症例では劇症型感染症や合併症にも注意が必要である。
要点
- 代表的な病原体はA群β溶血性連鎖球菌
- 咽頭炎、皮膚感染症、劇症型など多彩な臨床像
- 迅速診断・適切な抗菌薬治療が重要
病態・原因
連鎖球菌はグラム陽性球菌で、主に飛沫・接触感染により伝播する。A群(S. pyogenes)がヒトに最も多く感染し、咽頭や皮膚の常在菌から病原性株が侵入することで発症する。リスク因子には小児、集団生活、皮膚損傷などがある。
主症状・身体所見
咽頭炎では咽頭痛、発熱、扁桃発赤・腫脹が主症状となる。皮膚感染では丹毒や蜂窩織炎として発症し、発赤・腫脹・疼痛がみられる。劇症型では急激なショックや多臓器不全を来すことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 咽頭スワブ培養 | β溶血性コロニー検出 | A群連鎖球菌の同定 |
| 迅速抗原検査 | 陽性 | 咽頭炎の迅速診断に有用 |
| 血液培養 | 菌血症例で陽性 | 劇症型や全身症状時に施行 |
臨床症状と迅速抗原検査・培養結果を組み合わせて診断する。画像検査は重症例や合併症(膿瘍、壊死性筋膜炎)を疑う場合に追加される。ASO(抗ストレプトリジンO抗体)は遅発性合併症の参考となる。
治療
- 第一選択:ペニシリン系抗菌薬(アモキシシリンなど)
- 補助療法:解熱鎮痛薬、支持療法、重症例ではICU管理
- 注意点:ペニシリンアレルギー例ではマクロライド系を選択、合併症・劇症型では早期治療介入
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 偽膜性腸炎 | 抗菌薬使用歴、下痢・偽膜形成 | C. difficile毒素検出 |
| 急性咽頭炎 | ウイルス性は咳・鼻汁が多い | ウイルス迅速検査、培養陰性 |
| 丹毒 | 境界明瞭な紅斑、発熱 | 皮膚培養でA群連鎖球菌検出 |
補足事項
リウマチ熱や糸球体腎炎などの非化膿性合併症にも注意が必要である。近年、劇症型A群連鎖球菌感染症(STSS)の重症例が増加しており、早期診断・治療が予後を左右する。