痔瘻

概要

痔瘻は肛門周囲膿瘍の治癒過程で形成される、肛門管と肛門周囲皮膚を連絡する瘻管である。慢性炎症性疾患であり、再発や難治例も多い。主に男性に多く、日常生活に支障を来すこともある。

要点

  • 肛門周囲膿瘍の後遺症として発症する
  • 慢性化しやすく、瘻管の形態により治療法が異なる
  • 手術療法が根治的治療であり、再発予防が重要

病態・原因

肛門陰窩からの感染が肛門周囲組織に波及し、膿瘍形成後に自然排膿や切開排膿を経て瘻管が残存する。クローン病など基礎疾患によるものもあるが、多くは特発性である。

主症状・身体所見

肛門周囲の持続的な分泌物、皮膚の発赤や腫脹、圧痛がみられる。慢性経過では瘻孔から膿性分泌物が排出される。疼痛は膿瘍形成時に強いが、痔瘻自体は無痛のことも多い。

検査・診断

検査所見補足
視診・触診瘻孔・分泌物、索状物皮膚開口部と肛門管の位置関係
直腸鏡検査内口・瘻管の観察内口の同定が治療選択に重要
MRI/超音波瘻管の走行・分岐の描出複雑痔瘻や再発例で有用

瘻管の内口・外口の同定が診断と治療選択に不可欠である。複雑例や再発例ではMRIや超音波検査が有用。クローン病など基礎疾患の評価も必要。

治療

  • 第一選択:瘻管切除術またはシートン法
  • 補助療法:抗菌薬(急性炎症時)、創部ケア
  • 注意点:括約筋損傷による失禁予防、再発時の再評価

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
肛門周囲膿瘍急性発症・強い疼痛膿瘍腔の存在、瘻管形成なし
裂肛排便時痛・出血裂創の存在、瘻管や膿瘍なし
Crohn病多発・複雑瘻管、全身症状消化管病変の合併、炎症マーカー上昇

補足事項

痔瘻は再発しやすく、瘻管の形態や内口位置により術式選択が異なる。クローン病関連痔瘻では治療方針が特に難しいため、消化器内科との連携が重要。術後の創部管理や失禁予防にも留意する。

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