肛門管癌
概要
肛門管癌は肛門管に発生する悪性腫瘍で、消化管癌の中では比較的稀な疾患である。主に扁平上皮癌が多く、肛門周囲の疼痛や出血を主訴とすることが多い。予後や治療方針は発生部位や進行度によって異なる。
要点
- 肛門管に発生する悪性腫瘍で扁平上皮癌が主体
- 早期発見が難しく進行例が多い
- 放射線化学療法が治療の中心
病態・原因
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が主要なリスク因子であり、慢性的な炎症や免疫抑制状態も発症に関与する。肛門性交や喫煙、HIV感染も危険因子として知られる。
主症状・身体所見
肛門痛、出血、しこり、排便時の違和感などが主な症状である。進行例では肛門周囲の潰瘍形成やリンパ節腫脹、狭窄を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 直腸指診 | 腫瘤触知、潰瘍形成 | 進行度評価に有用 |
| 生検 | 扁平上皮癌などの組織診断 | 病理診断が確定診断 |
| 画像検査 | 腫瘍の局所進展・転移評価 | MRI・CT・超音波など |
診断は生検による病理組織診断が必須であり、画像検査で局所浸潤やリンパ節・遠隔転移の有無を評価する。MRIは局所進展評価に有用。
治療
- 第一選択:放射線化学療法(5-FU+マイトマイシンCなど)
- 補助療法:外科的切除(局所切除・腹会陰式直腸切断術)、支持療法
- 注意点:治療抵抗例や再発例では外科的治療が検討される
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 直腸癌 | 粘膜下浸潤・腺癌主体 | 腺癌が多くCEA高値 |
| 肛門癌 | 肛門縁発生・外陰部症状 | 扁平上皮癌が多くHPV関連 |
| 痔瘻 | 慢性炎症性病変・膿瘍 | 膿瘍形成・悪性所見なし |
補足事項
肛門管癌は比較的稀だが、HPVワクチンによる予防効果が期待されている。治療後の局所再発や二次癌発生にも注意が必要である。