急性膵炎
概要
急性膵炎は膵臓の自己消化により急性炎症が生じる疾患で、重症例では全身性炎症反応や多臓器不全をきたすことがある。主な原因は胆石とアルコールであり、早期診断と重症度評価が重要となる。治療は主に保存的だが、重症例では集中管理が必要となる。
要点
- 膵酵素の活性化による膵臓の自己消化が病態の中心
- 主要な原因は胆石とアルコール摂取
- 重症度評価と早期治療介入が予後を左右する
病態・原因
膵臓内で膵酵素(特にトリプシン)が異常に活性化し、膵実質や周囲組織を自己消化することで炎症が生じる。主なリスク因子は胆石症と過度のアルコール摂取で、薬剤や高脂血症、外傷なども原因となる。
主症状・身体所見
代表的な症状は上腹部痛(しばしば背部へ放散)、悪心・嘔吐である。重症例ではショックや意識障害、腹膜刺激症状を呈することがある。身体診察では上腹部圧痛、筋性防御、腸音減弱などがみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清アミラーゼ・リパーゼ | 上昇 | 診断に有用、リパーゼが特異的 |
| 造影CT | 膵腫大、膵周囲液体貯留、壊死像など | 重症度評価や合併症検索 |
診断は典型的な腹痛、膵酵素上昇、画像所見のうち2項目以上で行う。CTは重症度評価や壊死・膿瘍・仮性囊胞などの合併症評価に有用。重症度判定には日本膵臓学会の基準やRanson基準などが用いられる。
治療
- 第一選択:絶食・輸液・疼痛管理(鎮痛薬)
- 補助療法:抗菌薬(感染合併例)、栄養管理、膵外分泌抑制薬
- 注意点:重症例ではICU管理、合併症(壊死・感染・多臓器不全)の早期対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性胆囊炎 | Murphy徴候陽性、右季肋部痛 | 膵酵素正常、胆囊壁肥厚・胆石 |
| 消化性潰瘍穿孔 | 急激な腹痛、腹膜刺激症状 | 遊離ガス像、膵酵素正常 |
補足事項
重症度評価と合併症対応が治療の鍵となる。膵壊死や感染を合併した場合は外科的治療やドレナージも検討される。早期経腸栄養の有用性が近年注目されている。