膵癌
概要
膵癌は膵臓に発生する悪性腫瘍で、進行が早く予後不良な疾患である。主に膵管上皮から発生し、高齢者や喫煙者に多い。診断時にはすでに進行していることが多く、治療が難しい。
要点
- 早期発見が困難で発見時には進行例が多い
- 黄疸や背部痛などの症状が出現しやすい
- 外科的切除が唯一の根治療法だが適応例は限られる
病態・原因
膵癌の多くは膵管上皮由来の腺癌であり、遺伝的要因や慢性膵炎、糖尿病、喫煙、肥満などがリスク因子とされる。KRAS遺伝子変異が高頻度に認められる。
主症状・身体所見
初期は無症状のことが多いが、進行すると体重減少、腹痛、背部痛、閉塞性黄疸がみられる。上腹部腫瘤やTrousseau徴候(血栓傾向)も特徴的。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部CT | 膵腫瘤、膵管拡張、周囲浸潤 | 進行度・切除可能性評価 |
| 腫瘍マーカー(CA19-9, CEA) | 高値 | 血中値は診断・経過観察に有用 |
| 超音波内視鏡(EUS) | 腫瘍の局在・大きさ | 生検も可能 |
画像検査で膵腫瘤や膵管拡張を認め、腫瘍マーカーの上昇が診断の補助となる。確定診断には組織診断が必要であり、EUS下穿刺吸引生検が推奨される。
治療
- 第一選択:外科的切除(膵頭十二指腸切除術など)
- 補助療法:化学療法(ゲムシタビン、FOLFIRINOXなど)、放射線療法
- 注意点:切除不能例では緩和ケアや胆道ドレナージを考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 慢性膵炎 | 石灰化・膵管不整・疼痛の慢性化 | CTで石灰化、腫瘍マーカーは通常正常 |
| 胆管癌 | 黄疸や胆管拡張、胆道壁肥厚 | 画像で胆管病変、膵腫瘤なし |
補足事項
膵癌は予後不良であり、5年生存率は10%未満とされる。家族性膵癌や遺伝性腫瘍症候群(Peutz-Jeghers症候群など)にも注意が必要。