流行性耳下腺炎
概要
流行性耳下腺炎はムンプスウイルスによる急性ウイルス感染症で、主に小児に多くみられる。耳下腺の腫脹と疼痛を特徴とし、飛沫感染や接触感染により流行する。合併症として無菌性髄膜炎や難聴、睾丸炎などが知られている。
要点
- ムンプスウイルスによる耳下腺の急性炎症
- 小児に多く、飛沫・接触で感染拡大
- 無菌性髄膜炎や難聴などの合併症に注意
病態・原因
ムンプスウイルス(パラミクソウイルス科)が飛沫や直接接触により上気道から侵入し、耳下腺を中心とした唾液腺に感染・炎症を引き起こす。冬季から春季にかけて流行しやすい。
主症状・身体所見
耳下腺の腫脹と圧痛が特徴的で、片側または両側に発症する。発熱、頭痛、咽頭痛、嚥下痛などを伴い、顎下腺や舌下腺の腫脹を認めることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清ムンプスIgM/IgG抗体 | IgM抗体陽性、またはペア血清でIgG抗体価上昇 | 急性期・回復期で比較 |
| ウイルス分離 | 唾液・咽頭ぬぐい液からムンプスウイルス検出 | PCR法も有用 |
| 血液検査 | 白血球減少、CRP軽度上昇 | 炎症反応は軽度 |
臨床症状と流行状況から診断するが、確定には血清抗体価やウイルス検出が有用。画像検査は原則不要だが、合併症疑い時に頭部MRIなどを行う。
治療
- 第一選択:対症療法(解熱剤、鎮痛剤、安静など)
- 補助療法:水分補給、栄養管理、二次感染予防
- 注意点:合併症(髄膜炎、難聴、睾丸炎等)の早期発見と対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 唾液腺炎 | 細菌性感染、膿性分泌物、発赤 | 細菌培養陽性 |
| 耳下腺腫瘍 | 慢性経過、腫瘤の硬さ・可動性 | 画像で腫瘍性病変 |
| 急性リンパ節炎 | 耳下腺以外のリンパ節腫脹、発赤・圧痛 | 血液検査で炎症反応上昇 |
補足事項
ワクチンによる予防が最も重要であり、定期接種により発症率・重症化率が大幅に減少する。成人発症例では合併症頻度が高く、特に男性の睾丸炎に注意が必要。