心室頻拍
概要
心室頻拍(VT)は、心室から発生する頻拍性不整脈で、致死的な心室性不整脈の一つである。心筋梗塞や心筋症などの器質的心疾患に合併しやすく、突然死の主要な原因となる。持続性の場合は循環動態の破綻や心室細動への移行も懸念される。
要点
- 心室起源の頻拍で突然死リスクが高い
- 基礎心疾患の有無で予後・治療方針が変化
- 持続性VTは循環不全や心室細動に進展しやすい
病態・原因
心室頻拍は心室筋からの異常興奮が連続して発生することで起こる。器質的心疾患(心筋梗塞後、心筋症など)の瘢痕や虚血部位がリエントリー回路となることが多い。薬剤性や電解質異常でも発症することがある。
主症状・身体所見
動悸、めまい、失神、胸痛、呼吸困難などが主症状であり、重症例ではショックや意識消失を呈する。脈拍は規則的で速く、聴診で心音の強弱変動や頸静脈怒張を認めることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 12誘導心電図 | 幅広いQRS波形、規則的頻拍 | 左脚ブロック様や右脚ブロック様など多彩 |
| 心エコー | 心機能低下・基礎疾患の有無 | 心筋梗塞瘢痕や心筋症の評価 |
| 血液検査 | 電解質異常、心筋逸脱酵素の上昇 | 原因検索や合併症評価 |
診断は心電図でQRS幅が120ms以上かつ規則的な頻拍を認めることで行う。基礎疾患検索のため心エコーや血液検査も重要。持続性・非持続性の区別や心室細動との鑑別も必要。
治療
- 第一選択:電気的除細動またはカルディオバージョン(循環不全時)、抗不整脈薬(アミオダロン等)
- 補助療法:基礎疾患の治療、ICD植込み、薬物療法の調整
- 注意点:再発予防のためICD適応の検討、電解質管理やQT延長薬の併用注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 発作性上室頻拍 | QRS幅が狭い、心房起源 | 心電図でQRS幅が狭い |
| 心房細動 | RR間隔不整、P波消失 | 心電図でRR不整、細動波 |
| 心室細動 | 無秩序な心電図波形、意識消失 | 心電図で粗大・細かい波形 |
補足事項
心室頻拍は突然死の主要原因であり、特に器質的心疾患合併例では発症リスクが高い。ICDの普及により予後は改善しているが、急性期の適切な治療介入が重要である。