乳癌
概要
乳癌は乳腺組織に発生する悪性腫瘍で、女性の悪性腫瘍の中で最も頻度が高い。遺伝的要因やホルモン環境が発症リスクに関与し、早期発見・治療が予後改善に重要である。
要点
- 女性に最も多い悪性腫瘍である
- 早期発見・治療が予後を大きく左右する
- ホルモン受容体やHER2の発現が治療戦略に影響する
病態・原因
乳腺上皮細胞の遺伝子異常により発生し、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンが増殖刺激となる。BRCA1/2などの遺伝子変異、家族歴、肥満、初経・閉経年齢、未経産、ホルモン補充療法などがリスク因子である。
主症状・身体所見
無痛性乳房腫瘤が最も多く、乳頭分泌、乳頭陥凹、皮膚の陥没や発赤、リンパ節腫脹などがみられる。進行例では腋窩リンパ節腫大や皮膚浸潤、遠隔転移症状も出現する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 乳腺画像検査 | 腫瘤影、石灰化、構築の乱れ | マンモグラフィ・超音波 |
| 生検 | 癌細胞の確認、ホルモン受容体・HER2 | 針生検、組織診断 |
画像所見ではマンモグラフィや超音波検査が初期スクリーニングに用いられる。確定診断は生検による病理組織診断で行い、ホルモン受容体(ER、PgR)、HER2の発現を評価する。CTやMRI、骨シンチグラフィで進展度(ステージ)を判定する。
治療
- 第一選択:手術(乳房温存術または乳房切除術)+腋窩リンパ節郭清
- 補助療法:内分泌療法、化学療法、分子標的薬、放射線療法
- 注意点:治療選択は病期・サブタイプにより異なる、再発監視が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 乳腺症 | 疼痛・周期性・両側性 | 画像で腫瘤明瞭でない |
| 線維腺腫 | 若年女性・可動性良好な腫瘤 | 超音波で均一な低エコー域 |
| 乳房Paget病 | 乳頭・乳輪の湿疹様変化 | 乳頭部皮膚生検で診断 |
補足事項
早期乳癌の予後は良好だが、進行例やトリプルネガティブ型は再発・転移リスクが高い。乳癌検診による早期発見が重要であり、個別化治療の進展がみられる。