転移性卵巣癌
概要
転移性卵巣癌は、他臓器の原発悪性腫瘍が卵巣に転移して発生する悪性腫瘍である。原発巣は消化管(胃・大腸など)や乳腺などが多い。原発卵巣癌と異なり、両側性や多発性が特徴となる。
要点
- 原発巣は消化管や乳腺が多い
- 両側卵巣に発生しやすい
- 原発卵巣癌との鑑別が重要
病態・原因
消化管癌(特に胃癌・大腸癌)や乳癌などの悪性腫瘍が血行性やリンパ行性、直接浸潤により卵巣に転移する。特にKrukenberg腫瘍は胃癌由来の代表的な転移性卵巣癌である。
主症状・身体所見
無症状のことも多いが、腹部膨満感、下腹部痛、不正性器出血などを呈する。両側性卵巣腫大や腹水貯留を認めることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 画像検査 | 両側性卵巣腫大、腹水、原発巣の存在 | 超音波・CT・MRIなどで評価 |
| 腫瘍マーカー | CA125・CEA・CA19-9などの上昇 | 原発巣により上昇パターンが異なる |
| 病理組織診断 | 印環細胞癌、粘液産生性腫瘍など | 原発巣との組織学的比較が重要 |
画像検査で両側性腫瘍や腹水、原発巣の同定が重要。病理診断で印環細胞や粘液産生性腫瘍を認める場合は消化管原発を強く示唆する。
治療
- 第一選択:原発巣に準じた全身化学療法
- 補助療法:症状緩和目的の外科的切除や腹水対策
- 注意点:原発巣の検索・治療が不可欠、卵巣摘出単独では根治困難
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 原発卵巣癌 | 片側性が多く、原発巣不明 | 組織型や腫瘍マーカーのパターンが異なる |
| Krukenberg腫瘍 | 印環細胞癌、胃癌原発が多い | 病理で印環細胞、胃病変の有無 |
| 卵巣良性腫瘍 | 境界明瞭、進行遅い | 腫瘍マーカー正常、画像で良性所見 |
補足事項
転移性卵巣癌は原発巣の治療方針が予後を左右するため、原発巣の同定が極めて重要である。治療は集学的アプローチが必要となる。