線維腺腫
概要
線維腺腫は乳腺に発生する代表的な良性腫瘍で、若年女性に多くみられる。可動性良好な単発性腫瘤として触知されることが多く、悪性化は稀であるが経過観察が推奨される。
要点
- 乳腺の良性腫瘍で若年女性に好発
- 可動性良好な弾性硬の腫瘤を触知
- 悪性化は稀だが定期的な経過観察が重要
病態・原因
線維腺腫は乳腺の腺上皮と間質成分が増殖する良性腫瘍であり、エストロゲンの影響が関与する。思春期から30歳代の女性に多く、ホルモンバランスの変化が発症に関与する。
主症状・身体所見
乳房に境界明瞭で可動性の良い、弾性硬の無痛性腫瘤を触知する。多くは単発で、径2〜3cm程度のことが多い。圧痛や皮膚の陥凹は通常認めない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 乳腺超音波検査 | 均一な低エコー腫瘤、境界明瞭 | 若年女性では最も有用 |
| 乳腺X線(マンモグラフィ) | 境界明瞭な円形・類円形腫瘤 | 石灰化を伴うこともある |
| 針生検 | 良性線維性・腺上皮性成分 | 鑑別困難例で施行 |
超音波検査で典型的な所見が得られれば診断は比較的容易だが、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合は針生検が行われる。マンモグラフィでは境界明瞭な腫瘤として描出される。
治療
- 第一選択:経過観察(増大傾向や不安が強い場合は腫瘍摘出術)
- 補助療法:定期的な画像検査によるフォローアップ
- 注意点:急激な増大や形状変化時は再評価・摘出適応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 乳癌 | 固定性・不整な境界・陥凹 | 超音波で不整形・血流増加 |
| 乳腺症 | 多発性・周期的変動 | 超音波で嚢胞性変化 |
補足事項
線維腺腫は閉経とともに縮小傾向を示す。葉状腫瘍との鑑別が時に問題となるため、増大例や高齢発症例では注意が必要。