乳房Paget病
概要
乳房Paget病は乳頭・乳輪部に発生する稀な皮膚悪性腫瘍で、多くは基礎に乳癌(特に非浸潤性乳管癌)を伴う。乳頭湿疹様の皮疹が特徴で、進行すると潰瘍やびらんを呈する。
要点
- 乳頭・乳輪部の湿疹様病変が主徴
- 多くは基礎に乳癌を合併する
- 病理学的にPaget細胞の存在が診断の決め手
病態・原因
表皮内に異型のPaget細胞が増生し、乳頭・乳輪部に病変を形成する。多くは乳管内癌が乳管を通じて進展し、表皮に浸潤することで発症する。基礎疾患として非浸潤性乳管癌(DCIS)や浸潤性乳管癌を伴う場合が多い。
主症状・身体所見
乳頭・乳輪部の紅斑、鱗屑、びらん、痂皮形成など湿疹様の皮膚変化がみられる。慢性的な経過をたどり、掻痒感や疼痛、乳頭の変形・潰瘍を伴うこともある。他の乳腺疾患と鑑別が必要。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚生検 | Paget細胞の表皮内浸潤 | PAS陽性・粘液染色陽性 |
| 乳腺画像検査 | 乳癌の有無・範囲の評価 | マンモグラフィ、超音波、MRIなど |
| 乳頭分泌物細胞診 | 異型細胞の検出 | 補助的検査 |
Paget細胞の存在が病理学的診断の決め手となる。乳腺画像検査で基礎乳癌の有無や範囲を評価する。マンモグラフィやMRIで腫瘍の局在や広がりを確認する。
治療
- 第一選択:乳房切除術または乳房温存手術+センチネルリンパ節生検
- 補助療法:放射線療法、ホルモン療法、化学療法(基礎乳癌の病態に応じて)
- 注意点:早期診断・治療が予後改善の鍵、乳頭湿疹と誤診しやすい
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 乳頭湿疹 | 掻痒感強く、炎症所見主体 | Paget細胞は認めない |
| 乳頭乳輪部湿疹 | 両側性もあり、基礎乳癌伴わない | 画像検査・生検で悪性所見なし |
| 乳頭部基底細胞癌 | 結節性・潰瘍形成、境界明瞭 | 基底細胞由来の腫瘍細胞を認める |
補足事項
乳頭・乳輪部の難治性湿疹はPaget病を念頭に生検を行うことが重要である。乳癌の治療方針に準じた集学的治療が推奨される。