アメーバ赤痢
概要
アメーバ赤痢は、腸管寄生性原虫である赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)による感染症。主に糞口感染で伝播し、発展途上国で多いが、国内でも性感染や輸入感染例がみられる。重症化すると肝膿瘍などの腸管外合併症をきたすことがある。
要点
- 赤痢アメーバによる慢性または急性の腸管感染症
- 血便や粘血便を特徴とし、無症候性保菌も存在
- 肝膿瘍などの腸管外合併症に注意
病態・原因
赤痢アメーバの嚢子が経口的に体内へ侵入し、腸管内で栄養型へ変化して大腸粘膜を侵襲する。主な感染経路は糞口感染であり、汚染された水や食物の摂取、または性的接触もリスクとなる。免疫低下や基礎疾患を有する場合、重症化しやすい。
主症状・身体所見
粘血便や血便、腹痛、しぶり腹が主症状で、発熱を伴うこともある。慢性経過の場合は体重減少や全身倦怠感がみられる。無症候性保菌者も多く、症状のないまま感染が広がることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 便検査 | 赤痢アメーバ嚢子・栄養型検出 | 複数回提出が望ましい |
| 内視鏡検査 | フラスコ状潰瘍 | 生検でアメーバの存在を確認 |
| 血清抗体検査 | 抗アメーバ抗体陽性 | 腸管外合併症(肝膿瘍など)で有用 |
便検査でのアメーバ検出が診断の基本であるが、感度向上のため複数回の検体提出が推奨される。内視鏡所見は特徴的なフラスコ状潰瘍で、生検組織で原虫を確認する。腸管外病変では血清抗体検査が診断補助となる。
治療
- 第一選択:メトロニダゾール内服(腸管外型を含む場合)、パロモマイシン(腸管内除菌)
- 補助療法:支持療法(水分・電解質補正)、栄養管理
- 注意点:無症候性保菌者も治療対象、耐性例や再発例では薬剤変更を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 細菌性赤痢 | 発症が急性、発熱・激しい腹痛 | 便培養で細菌検出 |
| 潰瘍性大腸炎 | 若年発症、持続的な下痢 | 抗アメーバ抗体陰性、内視鏡所見異なる |
| 偽膜性腸炎 | 抗菌薬使用歴、白色偽膜形成 | 便中クロストリジウム・ディフィシル毒素陽性 |
補足事項
性感染症としても重要であり、MSM(男性間性交渉者)での集団発生が報告されている。治療後も再感染や再発例があるため、経過観察と衛生指導が重要である。