広東住血線虫症
概要
広東住血線虫症は、広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)による寄生虫感染症で、主に中枢神経系に好酸球性髄膜炎を引き起こす。感染源は生または加熱不十分なカタツムリやナメクジの摂取が多い。東南アジアを中心に発生し、日本でも報告例がある。
要点
- 広東住血線虫の幼虫がヒト体内に侵入し、主に髄膜炎を発症
- 感染経路はカタツムリやナメクジなど中間宿主の摂取
- 好酸球性髄膜炎が特徴的な臨床像
病態・原因
広東住血線虫の幼虫は経口摂取後、消化管から体内に侵入し、血行性に中枢神経系へ移行する。ヒトは偶発的な宿主であり、幼虫が髄膜に到達し炎症を惹起する。感染リスクは生食文化や衛生環境に影響される。
主症状・身体所見
発熱、激しい頭痛、項部硬直などの髄膜刺激症状が出現し、悪心・嘔吐、感覚異常、時に麻痺や痙攣もみられる。好酸球増多が血液や髄液で認められる点が鑑別の手がかりとなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 髄液検査 | 好酸球増多、細胞数増加 | 髄液中好酸球比率の上昇 |
| 血液検査 | 好酸球増多 | 一般的な炎症反応も伴う |
| 画像検査 | 特異的所見は乏しい | 髄膜肥厚や浮腫がみられることも |
診断は髄液中の好酸球増多と臨床経過、流行地への渡航歴やカタツムリ摂取歴から推定する。確定診断には幼虫検出や特異的抗体検査が有用。
治療
- 第一選択:対症療法(鎮痛薬、ステロイドなど)
- 補助療法:髄液穿刺による減圧、抗けいれん薬
- 注意点:抗寄生虫薬は神経症状増悪の懸念があり慎重投与
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アメーバ赤痢 | 下痢・血便主体、髄膜症状なし | 髄液異常なし、便検査陽性 |
| 急性細菌性髄膜炎 | 発熱・意識障害が強い | 髄液で好中球優位 |
| トキソプラズマ症 | 免疫不全例で脳症状主体 | 髄液で好酸球増多なし |
補足事項
日本ではまれだが、輸入感染症として注意が必要。好酸球性髄膜炎の原因としては他にベイリスアスカリス症なども挙げられる。