顎口虫症
概要
顎口虫症は、顎口虫(Gnathostoma属)による寄生虫感染症で、主に生の淡水魚やカエル、爬虫類の摂取を介してヒトに感染する。皮下移動性腫瘤や消化管、神経系など多彩な臓器障害を引き起こすことが特徴である。
要点
- 生食による感染が主経路で、東南アジアや日本でみられる
- 皮下腫瘤や移動性紅斑、まれに中枢神経症状を呈する
- 血中好酸球増多や虫体検出が診断の手がかりとなる
病態・原因
顎口虫の幼虫が生の魚介類やカエルなどの摂取によりヒトに侵入し、皮下や内臓、神経組織などを移動することで炎症や組織障害を引き起こす。感染リスクは生食習慣のある地域で高い。
主症状・身体所見
皮下に移動性の腫瘤や紅斑、浮腫が出現し、強い掻痒感を伴うことが多い。消化管症状(腹痛、下痢、嘔吐)や、まれに中枢神経症状(髄膜炎、脳炎)を呈する場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 好酸球増多 | 感染早期からみられる |
| 皮膚生検 | 幼虫検出 | 病変部より虫体を同定 |
| 画像検査 | 移動性腫瘤・浮腫 | 超音波やMRIで確認可能 |
皮膚・皮下腫瘤の移動性、好酸球増多、流行地域での生食歴が診断の手がかりとなる。確定診断は病変部からの虫体検出による。画像検査では移動性の炎症巣がみられることがある。
治療
- 第一選択:アルベンダゾールまたはイベルメクチンの内服
- 補助療法:対症療法(抗ヒスタミン薬、ステロイド)、外科的摘出
- 注意点:再感染予防のため生食を避ける指導が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アニサキス | 消化管症状が主、皮下症状は稀 | 内視鏡で虫体確認 |
| 広東住血線虫症 | 好酸球性髄膜炎が主体 | 髄液中好酸球増多 |
| トキソカラ症 | 肝臓・肺・眼病変が多い | 抗体検査陽性、虫体検出困難 |
補足事項
国内では淡水魚やカエル、ヘビの生食による感染例が報告されている。神経型や内臓型では重篤な経過をたどることもあり、早期診断・治療が重要である。