有鉤条虫症・無鉤条虫症

概要

有鉤条虫症・無鉤条虫症は、Taenia solium(有鉤条虫)およびTaenia saginata(無鉤条虫)による消化管寄生虫感染症である。主に豚肉や牛肉の生食によって感染し、消化器症状や神経症状を呈することがある。特に有鉤条虫症では嚢虫症として中枢神経障害をきたすことがある。

要点

  • 有鉤条虫は豚肉、無鉤条虫は牛肉を介して感染
  • 有鉤条虫症では嚢虫症による神経症状が重篤
  • 診断は虫卵・虫体検出と画像検査が重要

病態・原因

有鉤条虫症は豚肉、無鉤条虫症は牛肉の加熱不十分な摂取により感染する。成虫は腸管に寄生し、特に有鉤条虫は虫卵経口摂取により全身に嚢虫症を生じる。衛生環境や食習慣が主なリスク因子である。

主症状・身体所見

多くは無症状だが、腹痛、下痢、悪心などの消化器症状を呈する。まれに虫体の排出を自覚することもある。有鉤条虫症では嚢虫症による神経症状(てんかん、意識障害、頭痛)が重篤となることがある。

検査・診断

検査所見補足
糞便検査虫卵・虫体の検出虫卵の形態で種鑑別が困難
画像検査(MRI/CT)嚢虫の多発性病変有鉤条虫の嚢虫症診断に有用
血清抗体検査抗体陽性補助診断として利用

虫卵や虫体の検出が確定診断となるが、嚢虫症の診断には画像検査が不可欠。血清抗体検査も補助的に用いられる。嚢虫症では脳内の嚢胞性病変が特徴的。

治療

  • 第一選択:プラジカンテル内服
  • 補助療法:対症療法(抗けいれん薬、ステロイド)、栄養管理
  • 注意点:嚢虫症例では治療反応性に注意し、炎症反応の管理が必要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
アニサキス急性腹痛・食後数時間で発症内視鏡で虫体直接確認
回虫症腸閉塞や肺移行期の症状虫卵の形態が異なる
広東住血線虫症好酸球性髄膜炎を呈する髄液中好酸球増多

補足事項

有鉤条虫症の嚢虫症は世界的に重要な中枢神経感染症であり、流行地からの帰国者や移民にも注意が必要。食肉の十分な加熱により予防可能である。

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