多発性骨髄腫
概要
多発性骨髄腫は、形質細胞が骨髄内で異常増殖し、単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)を産生する造血器腫瘍である。骨病変、高カルシウム血症、腎障害、貧血など多彩な臨床症状を呈する。高齢者に多く、進行性かつ慢性的な経過をとる。
要点
- 骨髄内での形質細胞の異常増殖が主病態
- 骨痛、腎障害、貧血、高カルシウム血症が4大症状
- M蛋白の検出が診断の中心
病態・原因
骨髄中で腫瘍性形質細胞が増殖し、正常造血の抑制や骨吸収の亢進をもたらす。M蛋白の過剰産生により腎障害や免疫不全も生じる。高齢、男性、家族歴、免疫異常がリスク因子とされる。
主症状・身体所見
骨痛や病的骨折、貧血症状(倦怠感・動悸)、腎機能障害、易感染性、高カルシウム血症(意識障害・多尿など)が代表的。進行例では全身衰弱や出血傾向もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清蛋白電気泳動 | M蛋白出現 | IgG型が最多、IgA型も |
| 骨髄検査 | 形質細胞増加 | 10%以上で診断基準 |
| 骨X線/CT/MRI | 打ち抜き像 | 骨融解像が特徴的 |
| 血液検査 | 貧血・高Ca・腎障害 | β2ミクログロブリン高値 |
M蛋白の存在と骨髄中の形質細胞増殖(10%以上)、典型的な骨病変や臓器障害(CRAB症状)が診断基準。画像では骨の打ち抜き像が特徴的。
治療
- 第一選択:プロテアソーム阻害薬、免疫調整薬、ステロイド、造血幹細胞移植(適応例)
- 補助療法:ビスホスホネート製剤による骨病変対策、支持療法(輸血、感染対策)
- 注意点:腎障害や高カルシウム血症への早期対応、感染予防が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 骨髄異形成症候群 | M蛋白なし・骨病変少ない | 骨髄形態異常が主体 |
| 悪性リンパ腫 | リンパ節腫脹主体 | 骨髄浸潤少ない、M蛋白なし |
| MGUS | 臓器障害なし | M蛋白少量、経過観察 |
補足事項
新規薬剤の登場により生存期間は延長傾向。腎障害や感染症が予後に大きく影響するため、早期の支持療法が重要。MGUSや原発性マクログロブリン血症との鑑別が臨床的に重要。