原発性マクログロブリン血症
概要
原発性マクログロブリン血症はB細胞由来の低悪性度リンパ腫で、異常なIgM型免疫グロブリン(マクログロブリン)の過剰産生を特徴とする。高粘稠度症候群や出血傾向、免疫不全を合併しやすい。中高年以降に発症し、進行は緩徐であるが全身症状を呈することが多い。
要点
- IgM型M蛋白増加とリンパ形質細胞の腫瘍性増殖が本態
- 高粘稠度症候群による神経症状や出血傾向を生じやすい
- 骨髄浸潤や貧血、免疫不全を伴うことが多い
病態・原因
B細胞の腫瘍性増殖によりIgM型免疫グロブリンが過剰に産生される。原因は不明だが、遺伝的素因や高齢、免疫異常がリスク因子とされる。腫瘍細胞は骨髄やリンパ節、脾臓に浸潤する。
主症状・身体所見
高粘稠度症候群による易出血性、視力障害、神経症状、レイノー現象などがみられる。貧血、易感染性、骨髄浸潤による全身倦怠感や体重減少も特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清蛋白電気泳動 | IgM型M蛋白の単クローン性増加 | 血清免疫固定法でIgM型を確認 |
| 骨髄穿刺 | リンパ形質細胞の増殖・浸潤 | 骨髄中の腫瘍細胞比率上昇 |
| 末梢血検査 | 貧血、白血球減少、血小板減少 | 汎血球減少を伴うことがある |
診断は血清IgM型M蛋白の単クローン性増加と骨髄でのリンパ形質細胞の増殖所見が中心となる。高粘稠度症候群の有無や臨床症状も考慮し、骨髄生検や画像検査で他疾患との鑑別を行う。
治療
- 第一選択:リツキシマブ併用化学療法(例:BR療法)
- 補助療法:血漿交換(高粘稠度症候群時)、支持療法、感染対策
- 注意点:IgM急減時のクリオグロブリン症や再発リスクに注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 多発性骨髄腫 | IgG/IgA型M蛋白・骨病変が主体 | IgMは増加しない |
| クリオグロブリン血症 | 寒冷時の症状・血清クリオグロブリン陽性 | IgM型M蛋白は必須でない |
| 悪性リンパ腫 | リンパ節腫脹やB症状が主体 | 血清M蛋白は認めないことが多い |
補足事項
進行は緩徐であるが、症状出現時には治療適応となる。高粘稠度症候群は緊急対応を要する。リツキシマブ単独投与でIgM増加・症状悪化を認めることがあり注意が必要。