クリオグロブリン血症
概要
クリオグロブリン血症は、低温下で血清中の免疫グロブリン(クリオグロブリン)が沈殿し、血管障害や多彩な臨床症状を引き起こす疾患群である。基礎疾患として慢性感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍が関与することが多い。
要点
- 低温で血清中のクリオグロブリンが沈殿し血管炎症状を呈する
- 原因は感染症、膠原病、悪性腫瘍など多岐にわたる
- 腎障害や皮膚症状、末梢神経障害など多臓器障害を認める
病態・原因
クリオグロブリンは低温で沈殿する異常免疫グロブリンで、血管内で沈着し小血管炎を生じる。原因としてC型肝炎などのウイルス感染、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの膠原病、リンパ系腫瘍が挙げられる。
主症状・身体所見
皮膚の紫斑や潰瘍、レイノー現象、関節痛、腎障害(蛋白尿・血尿)などがみられる。末梢神経障害や発熱、全身倦怠感も特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| クリオグロブリン定量 | 陽性 | 血清を4℃で保存し沈殿を確認 |
| 補体価 | 低下 | C4低下が典型的 |
| 腎機能検査 | 蛋白尿・血尿 | クリオグロブリン腎症の評価 |
| 免疫電気泳動 | 単クローン性/多クローン性 | 基礎疾患の同定 |
クリオグロブリンの検出が診断の決め手であり、補体価低下や腎障害の有無も評価する。腎生検や皮膚生検で血管炎所見が得られることがある。
治療
- 第一選択:基礎疾患の治療(例:C型肝炎には抗ウイルス療法)
- 補助療法:副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬、血漿交換
- 注意点:寒冷曝露の回避、感染症リスク管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 寒冷凝集素症 | 溶血性貧血・寒冷曝露で悪化 | 直接クームス試験陽性、クリオグロブリン陰性 |
| IgA血管炎 | 小児、腹痛・紫斑・関節炎 | IgA優位、クリオグロブリン陰性 |
補足事項
クリオグロブリン血症は腎症や神経障害など重篤な合併症を伴うことがあるため、早期診断・基礎疾患の適切な治療が重要である。C型肝炎関連例では抗ウイルス療法の進歩により予後が改善している。