伝染性紅斑
概要
伝染性紅斑はパルボウイルスB19による急性ウイルス感染症で、主に小児に発症する。頬部の紅斑(いわゆる“りんごほっぺ”)が特徴的な発疹性疾患であり、春から初夏に流行しやすい。
要点
- パルボウイルスB19が原因ウイルス
- 頬部紅斑と四肢のレース状発疹が特徴
- 妊婦や基礎疾患患者では重篤化に注意
病態・原因
パルボウイルスB19の飛沫感染によって発症し、潜伏期は4~14日程度である。ウイルスは赤血球系前駆細胞を障害するため、溶血性疾患や免疫不全患者では重篤な貧血を引き起こすことがある。
主症状・身体所見
初期は微熱・咽頭痛・倦怠感などの感冒様症状がみられ、数日後に両頬に境界明瞭な紅斑が出現する。その後、四肢や体幹にレース状・網目状の発疹が現れるのが特徴である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 一過性の貧血、網赤血球減少 | 溶血性疾患合併例で重要 |
| パルボウイルスB19 IgM抗体 | 陽性 | 急性感染の証明 |
| PCR検査 | パルボウイルスB19 DNA検出 | 特殊例や重症例で有用 |
典型的な臨床症状と流行状況で診断されることが多い。血清学的検査やPCRは確定診断や重症例の評価に用いる。画像検査は原則不要。
治療
- 第一選択:対症療法(安静・解熱鎮痛薬など)
- 補助療法:重症貧血例では輸血や免疫グロブリン投与を検討
- 注意点:妊婦・免疫不全患者では胎児水腫や重篤化リスクに留意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 突発性発疹 | 解熱後に発疹、頬部紅斑なし | ヒトヘルペスウイルス6/7抗体 |
| 麻疹 | 口腔粘膜のコプリック斑、高熱 | 麻疹ウイルス抗体陽性 |
| 風疹 | 淡い発疹、リンパ節腫脹 | 風疹ウイルス抗体陽性 |
補足事項
成人感染例では関節痛や関節炎が主体となることがある。妊娠初期の感染は胎児水腫や流産の原因となるため、妊婦への感染予防が重要である。