ムンプス難聴
概要
ムンプス難聴は流行性耳下腺炎(ムンプス、いわゆるおたふくかぜ)ウイルス感染により発症する突発性の感音難聴である。多くは片側性で、発症後の聴力回復はほとんど期待できない。小児に多く、予防にはワクチン接種が重要となる。
要点
- ムンプスウイルス感染による急性発症の感音難聴
- 片側性が多く、重篤な聴力障害を残す
- 予防はワクチン接種が有効
病態・原因
ムンプスウイルスが内耳や蝸牛神経に直接感染・障害を与えることで発症する。ウイルス血症や免疫反応も関与し、特に小児に多い。リスク因子はワクチン未接種や集団生活などが挙げられる。
主症状・身体所見
突然の片側性難聴が主症状で、耳鳴やめまいを伴うこともある。耳痛や発熱、耳下腺腫脹などムンプス本体の症状を伴う場合もある。難聴は高度で不可逆的なことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 純音聴力検査 | 感音難聴型(高度) | 片側性が多い |
| ABR(聴性脳幹反応) | 波形消失や著明な遅延 | 聴神経・内耳障害を示唆 |
| 血清ムンプス抗体 | 抗体価上昇 | 急性感染の証明に有用 |
診断は急性発症の高度感音難聴とムンプス感染の既往・抗体価上昇により行う。画像検査(MRI)は他の病因除外目的で施行することもある。
治療
- 第一選択:特異的治療は存在しない(対症療法のみ)
- 補助療法:ステロイド投与やビタミン剤(効果は限定的)
- 注意点:早期治療でも聴力回復はほぼ期待できず、予防が最重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 突発性難聴 | ウイルス感染既往の有無 | ムンプス抗体価上昇なし |
| 騒音性難聴 | 騒音曝露歴 | 音響外傷の既往 |
| 老人性難聴 | 高齢で徐々に進行 | 両側性・加齢による変化 |
補足事項
ムンプス難聴は日本ではワクチン定期接種化が遅れており、発生頻度が高い。早期発見・補聴器・人工内耳などリハビリテーションが重要。社会的影響も大きいため啓発活動が求められる。