唾液腺炎
概要
唾液腺炎は、耳下腺・顎下腺・舌下腺などの唾液腺に発生する炎症性疾患で、細菌やウイルス感染、唾石症などが原因となる。急性と慢性に分類され、発赤・腫脹・疼痛などの局所症状が特徴的である。免疫低下や脱水、口腔衛生不良がリスク因子となる。
要点
- 唾液腺の腫脹・疼痛・発赤が主徴
- 細菌・ウイルス感染や唾石症が主な原因
- 免疫低下や脱水も発症リスクとなる
病態・原因
唾液腺炎は、唾液腺の導管閉塞や唾液分泌低下を背景に、細菌(黄色ブドウ球菌、連鎖球菌など)やウイルス(ムンプスウイルスなど)が感染して発症する。唾石症や口腔衛生不良、脱水、全身性疾患による免疫低下が発症リスクを高める。
主症状・身体所見
耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫脹、圧痛、発赤、熱感がみられる。嚥下時や咀嚼時の疼痛、開口障害、膿性唾液の排出、発熱を伴うこともある。慢性例では腺の硬結や再発性腫脹が特徴となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 触診・視診 | 腫脹・発赤・圧痛 | 開口時の疼痛や膿排出を確認 |
| 超音波検査 | 腺内腫脹・膿瘍・唾石 | 唾石や膿瘍形成の評価に有用 |
| CT/MRI | 腺の腫大・膿瘍形成 | 深部膿瘍や広範囲炎症の評価 |
| 分泌液培養 | 細菌・ウイルスの検出 | 起因菌同定・治療方針決定に有用 |
臨床症状と局所所見、画像検査で診断する。唾液腺導管からの膿排出や唾石の有無が診断の決め手となる。超音波検査やCTで膿瘍や唾石、腫瘍との鑑別も行う。
治療
- 第一選択:抗菌薬投与(細菌性の場合)、安静・水分補給
- 補助療法:局所の温罨法、口腔内清掃、鎮痛薬の投与
- 注意点:膿瘍形成時は外科的排膿、唾石症合併時は摘出が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 唾石症 | 繰り返す腫脹・唾液分泌時の疼痛 | 画像で唾石を確認 |
| 耳下腺腫瘍 | 慢性進行性腫脹・無痛性 | 画像・組織診で腫瘍性病変 |
| 流行性耳下腺炎 | 両側性腫脹・小児に多い | ムンプスウイルス抗体検査 |
補足事項
高齢者や免疫抑制状態では重症化しやすいため、早期診断と治療が重要となる。慢性反復例や難治例では腫瘍性病変の除外も必要。