多発血管炎性肉芽腫症

概要

多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫症)は、主に上気道・肺・腎臓を侵す壊死性肉芽腫性炎症と血管炎を特徴とする自己免疫性疾患。中小血管を中心に全身性に炎症が波及し、急速な臓器障害を来すことがある。抗好中球細胞質抗体(ANCA)が高頻度で検出される。

要点

  • 壊死性肉芽腫性炎症と中小血管炎を特徴とする
  • 上気道・肺・腎障害が三徴で、進行は急速
  • ANCA陽性(特にPR3-ANCA)が診断と病勢評価に有用

病態・原因

自己免疫反応により中小血管の壊死性炎症と肉芽腫形成が生じる。病因は不明だが、遺伝的素因や環境要因が関与し、特に抗好中球細胞質抗体(PR3-ANCA)が病態に深く関連する。感染や薬剤も発症の引き金となることがある。

主症状・身体所見

慢性副鼻腔炎や鼻出血などの上気道症状、咳嗽・血痰・呼吸困難などの肺症状、血尿・蛋白尿・急速進行性腎炎などの腎症状が特徴的。発熱、全身倦怠感、関節痛、皮疹などの全身症状もみられる。

検査・診断

検査所見補足
血清ANCAPR3-ANCA陽性(多くは高値)、MPO-ANCAも稀に陽性病勢や治療効果の指標にもなる
画像検査(CT等)肺結節影・空洞・浸潤影、上気道の骨破壊など病変部位の評価に有用
尿検査血尿・蛋白尿・円柱尿腎障害のスクリーニング
組織生検壊死性肉芽腫性炎症・血管炎の証明診断確定には組織学的証明が重要

診断は臨床三徴(上気道・肺・腎)とANCA陽性、組織学的所見で確定する。画像では肺結節・空洞性病変が特徴的で、腎生検では壊死性半月体形成性糸球体腎炎がみられる。

治療

  • 第一選択:副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬(シクロホスファミド、リツキシマブ等)の併用
  • 補助療法:感染予防、支持療法、リハビリテーション
  • 注意点:再発リスクが高く、治療中の感染症・薬剤副作用に留意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
顕微鏡的多発血管炎肉芽腫形成なし、肺病変は少ないMPO-ANCA陽性が多い
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症喘息・好酸球増多・末梢神経障害好酸球増多、MPO-ANCA陽性
結節性多発動脈炎中型動脈主体、ANCA陰性が多い腎糸球体炎や肺病変は基本的に伴わない

補足事項

治療導入後も再発や慢性腎不全のリスクが残るため、長期的なフォローが重要。リツキシマブの導入により寛解維持率が向上している。診断・治療は膠原病内科や腎臓内科、呼吸器内科との連携が推奨される。

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